<特集>ネットワーク未来予想図2025マルチコア光ファイバーが4コア実用化へ本格始動 2027年には陸上展開も

NTTが、光ファイバー伝送容量を飛躍的に高める4コアの実用化に目処を付けた。しかも、2コア導入が決まっている海底より難易度が高い陸上網がターゲット。2027年の実用展開を目指す。

光ファイバーの伝送容量を拡大するため、これまで様々な技術が磨かれてきた。1チャネルでより多くの情報を送る時分割多重や偏波多重、多値変調、そしてチャネル数を増やす波長分割多重などだ。その結果、光ファイバー1本あたりの容量は実用レベルで10~20Tbpsにも達した。

だが、現行のアプローチによる進化は近い将来、100Tbps程度で頭打ちになると言われている。人類よりはるかに多くのデータを貪り食うAIが社会に浸透し始めた今、“あと5~10倍が物理的限界”とは心もとない。

2025年はマルチコア元年

とはいえ、心配は無用。新たなアプローチ「空間多重」の実用化が始まるからだ。光ファイバー内の光の通り道(コア)を複数化する「マルチコア光ファイバー(MCF)」である。現在使われているシングルコア光ファイバー(SCF)に比べて2コアなら2倍、4コアなら4倍、12コアなら12倍と一気に容量を増やせる。

世界で初めてMCFの実用化を発表したのが、GoogleとNECだ。米国と台湾を結ぶ太平洋横断海底ケーブル「TPU」の一部区間に2コアを採用。2025年に運用を開始する予定だ。

そして、国内ではNTTが陸上での4コア光ファイバー実用展開に向けて動き出す。NTT アクセスサービスシステム研究所の中島和秀氏は「陸上展開を考えると2コアは物足りない。通信事業者が使うメニューとして、4コアも使えるようにしていく」と語る。

NTT アクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト 中島和秀氏

NTT アクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト 中島和秀氏

MCFの実用化で課題となるのが、既存の技術・インフラとの互換性だ。まず焦点となるのが、光ファイバーの太さである。コア数を増やす際に外径を太くする方法もあるが、設備や技術の大幅な見直しを伴うため、量産化や敷設工事・メンテナンス効率の観点で望ましくない。

NTTは標準の太さのままコアを複数化するとともに、「敷設工事で必要になる接続・分岐技術も、4コアを前提に現場で使えるレベルで確立した」(同氏)。現在の陸上ネットワークは200~2000心の光ファイバーを実装できるケーブルを用いているが、今回確立した技術によって「ケーブル構造はそのままMCFに置き換えられる。1本のケーブル内に最大8000コアまで収められる」。

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