ケイ・オプティコムなど地域アクセス系通信事業者9社は2011年11月30日、情報通信審議会の「ブロードバンド普及促進のための競争政策委員会」および情報通信行政・郵政行政審議会の接続委員会で議論されている光ファイバーの分岐単位接続料制度の導入についての反対意見書を総務大臣に提出した。意見書に名を連ねたのは、ケイ・オプティコムのほか、北海道総合通信網、東北インテリジェント通信、中部テレコミュニケーション、北陸通信ネットワーク、エネルギア・コミュニケーションズ、STNet、九州通信ネットワーク、沖縄通信ネットワーク。
説明会には地域アクセス系事業者9社の代表が出席した | 意見書の骨子 (クリックで拡大) |
現在、戸建て住宅向けFTTHサービスや法人向けネットワークサービスは、電話局と加入者宅を結ぶ光ファイバーケーブルを最大32ユーザーで共有するシェアドアクセス方式で提供されており、NTT東日本/西日本から他事業者が回線を借りてサービスを提供する場合、ユーザー数に関わらず1芯(8分岐)単位で借りる形になっている。このためコスト負担が大きく、DSL事業者の参入障壁が高くなっているとして、ソフトバンクグループなどの接続事業者が1分岐単位での貸し出しを求めている。11月18日には、ソフトバンクBBとソフトバンクテレコムがNTT東西を独占禁止法違反で東京地裁に提訴する事態にまで発展している。
意見書提出後、9社は記者説明会を実施。9社を代表したケイ・オプティコムの藤野隆雄社長は「1分岐単位の貸し出しは、NTT東西に対して残り7分岐分のコストをつけ回すことになって公正な競争環境を歪めることになり、その結果、技術イノベーションの停滞を招く恐れがあり、最終的には国民が不利益を被ることになる」と主張。分岐単位接続料設定制度の導入に「断固反対」との立場を明確にした。
ケイ・オプティコム代表取締役社長の藤野隆雄氏 | ケイ・オプティコム経営戦略グループ部長の橘俊郎氏 |
現行制度でも参入は可能
続いて説明に立った同社・経営戦略グループの橘俊郎部長は、レンタカーに例え、「分岐単位接続料は、8人乗りのレンタカーを“1人で乗るから8分の1の料金で貸してくれ”と言っていることと同じで、レンタカー会社、すなわち光ファイバーを貸し出す会社が残りの料金を肩代わりすること。そういう(8分の1の料金しか支払わない)接続事業者と我々設備事業者が競争することになるので、コスト的に不公平で公正競争にはならない」と語った。
また、「高コストが参入障壁になっている」という接続事業者の主張に対しても「現行制度でも参入は可能」と語り、接続事業者が共同で光ファイバーを1芯単位で借りてサービスを提供する「コンソーシアム方式」で解決できると説明した。
分岐単位接続料制度の最大の問題は「コストのつけ回し」と主張 (クリックで拡大) | 「コンソーシアム方式」の概要 (クリックで拡大) |