LoRaWANやWi-Fi HaLowでスマート農業 IIJが取り組み事例を紹介

スマート農業を推進するインターネットイニシアティブ(IIJ)。LoRaWANを用いたトラクターの自動操縦や、Wi-Fi HaLowを活用した不法操業者の監視などに自治体と共同で取り組んでいる。

「我々は長いことスマート農業に取り組んでおり、2016年から本格的にスタートした。すでに70以上の自治体への支援実績がある」。インターネットイニシアティブ(IIJ) 副事業部長 兼 アグリ事業推進部長の齋藤透氏は、2024年9月17日に開催したスマート農業に関する記者説明会でこう語った。

(左から)IIJ IoTビジネス事業部 アグリ事業推進部 副部長 花屋誠氏、同部 副事業部長 兼 アグリ事業推進部長 齋藤透氏

(左から)IIJ IoTビジネス事業部 アグリ事業推進部 副部長 花屋誠氏、同部 副事業部長 兼 アグリ事業推進部長 齋藤透氏

同説明会では、スマート農業に関するIIJの取り組みが4つ紹介された。

1つめは、愛媛県真穴地区での取り組みだ。

同地区は、温州みかんのトップブランド「真穴みかん」の産地だが、「いかにして適切な“水ストレス”をかけるかが、みかん栽培における課題」(齋藤氏)だという。

水ストレスとは、果樹に対して水分が不足している状態を示す指標。水ストレスが高いほど糖度は上がるが、逆に水ストレスをかけすぎると落葉を引き起こし、収量減となるおそれがある。

そこでIIJは、真穴地区全体をカバーするLoRaWANネットワークを構築し、同地区に設置した120台の土壌水分センサーが取得したデータを、LoRaWAN経由でクラウドプラットフォームに集約している。また、アクト・ノード社の記録作業効率化アプリ「アクト・アップ」とAPI連携し、土壌水分量に関するデータを分析・可視化。これをもとに、スプリンクラー灌水のタイミングを最適化することで、産地全体での収益向上を目指している。

真穴地区全域へのLoRaWANネットワークインフラ構築

真穴地区全域へのLoRaWANネットワークインフラ構築

2つめは、北海道津別町(JAつべつ)との取り組みだ。

津別町は、「Ntrip方式」と呼ばれる測位技術を用いた自動操縦トラクターに関する実証実験を進めている。Ntrip方式とは、衛星測位システム(GNSS)に加え、固定基準局からの補正情報をインターネット経由で受信することで高精度の測位を実現する技術だが、電波が届かない中山間地域ではこれが使えず、トラクターの自動操縦も行えないという問題があったことから、LoRaWANを活用してGNSS補正信号を中継している。「ギリギリ携帯の電波が入る場所にLoRaWANの基地局を立てて、そこでインターネット経由で補正信号を受信する。そこからLoRaWANで携帯不感地域のトラクターに信号を届けるイメージだ」と齋藤氏は説明した。

LoRaWANによる補正信号中継システム

LoRaWANによる補正信号中継システム

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