スペイン・バルセロナで開かれた世界最大のモバイル/ワイヤレス展示会「Mobile World Congress 2011」(MWC2011)は来場者が大幅に増え、携帯電話からスマートフォンへの転換を告げた昨年をも上回る盛り上がりをみせた。長らく続いた携帯電話市場がスマートフォン/タブレットの登場によってモバイルインターネット市場、モバイルクラウド市場へと大きく変貌を始めたことを示した。
スマートフォンはタブレットと同時並行
最も注目を集めたスマートフォングローバル競争は早くも第2ラウンドを迎えた。iPhone 4で先行したアップルに対し、サムスン、ソニーエリクソン、モトローラ、LG、HTCなどAndroid陣営がタブレット端末との連関を強く意識しながら、この期に新製品の発表を一斉に行った。
サムスンは、メイン会場ホール8の中央の最も広いスペースで「GALAXY SⅡ」と「GALAXY Tab 10.1」を大々的に展示した。展示端末数は他を圧倒する物量で意気込みを示した。Android 2.3で性能向上、ディスプレイも大きくなり軽くなっている。アプリケーションの操作性も一段の工夫が凝らされている。かつてこの位置は携帯電話ナンバーのシェアを誇ってきたノキアの定位置であったが、スマートフォンで遅れをとっているノキアは2年連続で出展を見送った。
新GALAXYを大量展示していたサムスンブース |
ソニーエリクソンは、この会期に合わせて同時に4つのスマートフォン新製品を発表、特にゲーム機スタイルのスマートフォン「Xperia PLAY」が話題を呼んだ、昨年はサムスンの向かい側のブース位置で新製品「Xperia」が大きな注目を集めたが、今年はエリクソンが借り切っているホール6の一部に入る形で比較的コンパクトな展示になった。
ソニーエリクソンの「Xperia PLAY」 |
他方、LGは3Dスマートフォン「Optimus 3D」とタブレット「Optimus Pad」を同時発表、多くの高い関心を集め人だかりが絶えなった。3Dを武器に遅れを取り戻す意気が感じられた。
モトローラは、すでに発表したスマートフォンより、タブレットの新製品に触ろうとする人が引きも切らず高い関心を呼んだ。軽く滑らかで精細な動画対応はテレビ端末としての用途をうかがわせるもので、デモンストレーションでもビデオ会議などの活用シーンが訴求された。
また、マイクロソフトはすで発表されているWindows Phone 7対応の10数機種を勢ぞろいさせ、操作のスムースさをアピールした。iPhone、Andoridとは違う製品に仕上がっており、特に独特の四角に画面を区切ったボタンタイプの表示は使いやすさが高まりそうだ。
ほかに、ファーウェイ、ZTEなどの中国メーカーも多様なスマートフォン、タブレットを発表している。また、他ではHPのタブレット、RIMのタブレットをはじめ有名企業から中国系の無名企業まで実に様々なタブレット端末が展示され、いずれも高い関心を集めた。どのブースでも、初登場のタブレットには黒山の人だかりで、順番待ちの列が途絶えることはない。
RIMのタブレット「PlayBook」にはどの用途に使うのか、BlackBerryとの使い分けに質問が集中した。スマートフォン、タブレットの大きさ、性能がその用途、対象ユーザーを巡って競争と棲み分けが始まり、様々な潮流が生まれてくるものと思われる。まさに、スマートフォン/タブレット同時並走時代に入ったことがうかがわれた。
PlayBookが人気を集めたRIMブース |