「アジアを中心に海外でもコンシューマーサービスを提供する」――KDDI田中孝司新社長が就任会見

KDDIの新社長に就任した田中孝司氏が会見を行った。田中新社長は、アジアを中心にコンシューマーサービスを提供する構想を語ったほか、今後投入する携帯電話の新機種で、スマートフォンの比率を積極的に高めていく方針も示した。

KDDIは2010年12月1日、同日付けで就任した田中孝司社長の会見を実施した。9月10日の新社長発表会見では、「競争相手が変化しているなかで、それに対応できる“新しいKDDI”を作っていきたい」と抱負を語った田中社長は(参照記事)、その具体策を説明した。

田中孝司新社長は会見の冒頭で、「今日、12月1日は大安であり、非常によい船出になった」と語った

田中社長は新しいKDDIに向けたキーワードとして、「強みの最大化」「飽くなきチャレンジ」「実行の徹底」の3つを挙げた。

「強みの最大化」とは、3G、WiMAX、LTE、CATV、固定網と複数のネットワークを持っていること、3000万ユーザーを抱えていること、コンテンツレイヤを含め色々な経験を持っていること、グループ全体で1万8000人の社員がいることを強みとして挙げ、「このようなアセット(資産)を最大化していきたい」という。さらに「このアセットを120%に伸ばすには“飽くなきチャレンジ”が必要なうえ、それを着実に実行(実行の徹底)していかなければならない」と語った。

KDDIの目指す先として田中社長は、「地域密着を大事にしつつ、グローバルにまでビジネスモデルを拡げ、世界をベースにしたビジネスも展開していきたい」という。このようなビジネスドメインに対して、通信を基盤として、顧客の生活や企業活動に新たなシーンを創造していく。このような取り組みを田中社長は「スマートパイプ」という言葉で表した。よく通信事業者は「土管(パイプ)屋」と揶揄されるが、「我々は通信事業だけでなく、周辺も含めて皆様にサービスを提供したいという意味で“スマートパイプ”になり、それを地域からグローバルまでドメインを拡げてやっていきたい」と語った。

真のFMBCを実現する

具体的な方向性として、(1)「もっと身近に!」、(2)「もっとグローバルへ!」、(3)「もっといろんな価値を!」という、成長に向けた「3つのもっと」を挙げ、「これらを確実にやり切りたい」という。

(1)については、「真のFMBC(Fixed Mobile and Broadcast Convergence)」の実現を目指す。これまでは固定とモバイルの両方を一体で提供できる強みを活かしきれず、「横断の割引サービス程度に留まっていた」という。だが今後は、「マルチネットワーク、マルチデバイスをベースに、新たなビジネスモデルを作っていきたい」意向だ。実現の時期については、「2011年のある時期には少しは見えるようになる」と語った。

(2)については、前述のように事業のドメインをグローバルベースに変えていく。特に「海外市場でもコンシューマ向けサービスを拡大していきたい」意向だ。そのために「インターネットの世界で、これから伸びゆく国を中心に、初期段階から投資を進めていく」方針を示した。主要ターゲットは「文化も地理的にも近いアジアを中心にやっていきたい」と語った。ただ、「海外のコンシューマ市場では我々はプレゼンス(存在感)がないため、M&A中心で、現地のプレイヤーと一緒にやっていく」という。

(3)では、顧客の生活シーンに、通信とICTを組み合わせ、さらにパートナーと一緒に価値を提供していく。

この「3つのもっと」をとことんやり切るために、「人を最重要視」し、「チャレンジ精神」「熱意」「一体感」の3つをベースに社内改革を進める方針を表明した。

来期前半で新機種の半分をスマートフォンに

質疑応答では、田中社長自身も「着手が遅れた」と認めていたスマートフォンに関する質問が相次いだ。11月26日に発売した「IS03」が好調だが、「IS03をKDDI反転のきっかけにし、今後も積極的にスマートフォンの変化に対応していく。来期の前半には、新機種の半分がスマートフォンになる」と語った。

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