ソフトバンクは2022年9月14日、新技術の「Segment Routing IPv6 Mobile User Plane(以下、SRv6 MUP)」と「SRv6 Flex-Algo(フレックスアルゴ)」を活用して、MECサーバー上のアプリケーションと5Gのユーザーが接続するスライスの連携を自動化する実証実験に成功したと発表した。
モバイル通信ではいまだに「GTP(General Packet Radio System)」プロトコルでデータをやり取りしているところも多いが、これは通信に回線交換が必要だった時代に開発された仕組みであり、1対1通信を基本的に想定している。対して、SRv6 MUPはN対N通信が可能なIPベースのアーキテクチャ。
MECやネットワークスライシングなどの技術が導入されると、1つの端末から複数のセッションを用いて通信するケースが想定されるが、これらを低コストかつ容易に実現できると期待されていた。
また、SRv6 Flex-AlgoはAlgo(アルゴ)と呼ばれるスライスをIPネットワーク上に自動的に生成し、SRv6の転送識別子によって用途に応じた適切なスライスへのパケット転送を実現する、SRv6の新機能のこと。
ソフトバンクは、2022年9月20~22日にデンマークのコペンハーゲンで開催される「Digital Transformation World 2022」においてデモンストレーションを予定している。SRv6 MUPを活用した連携自動化のデモンストレーションでは、5G交換機の増設や構成の変更などを行うことなく、SRv6 MUPによってIPネットワークと5Gコアネットワークのスライスを、MECサーバー上のアプリケーションを展開するのと同時に自動的に利用できるようになっている様子を披露するとしている。
ソフトバンクではSRv6 MUPと5G設備との接続検証も完了しており、商用5Gネットワークへの本格的なSRv6 MUP導入に向けた設計構築段階に移行するとしている。