新生Sigfoxの再建戦略 新オーナーが描く「他のLPWA」との融合戦略とは?

仏Sigfox社が会社更生手続を申請したというニュースは、世界のIoT関係者に衝撃を与えた。Sigfoxは再建できるのか──。買収により新オーナーになったUnaBizの共同CEOに再建戦略を聞いた。

仏トゥルーズ商事裁判所は4月、今年1月に会社更生手続を申請していた仏Sigfox社の新たなオーナーとして、シンガポールに本社を置くIoTサービスプロバイダー、UnaBiz(ウナビズ)を指名した。

「Sigfox社の買収に手を挙げた9社中、UnaBizは最も小さな企業だった。しかもヨーロッパの企業ではなく、アジアに本社がある。どちらかというと弱い立場にあった我々がいろいろな方の賛同を得て、買収できたことを誇りに思うとともに、重責も感じている」

UnaBiz 共同CEO 兼 共同設立者のヘンリ・ボン氏はこう話す。

フランスでの企業買収は金額だけでは決まらない。従業員、顧客、投資家、パートナーなどステークホルダーの支持をどれだけ得られるかも大切な評価指標になる。「特に組合が強いフランスの場合、従業員の賛同が非常に重要になる」

実はボン氏はSigfox社の元従業員。その後設立したUnaBizでも、Sigfoxネットワークをシンガポールと台湾で展開してきた。従業員をはじめとする関係者は、信頼できる“仲間”に再建を託したわけだ。

UnaBiz 共同CEO 兼 共同設立者のヘンリ・ボン氏

UnaBiz 共同CEO 兼 共同設立者のヘンリ・ボン氏。
UnaBiz設立前は、Sigfox社でアジアのビジネス開発とセールスのディレクターを務めていた。
英語、フランス語、中国語の3カ国語を自由に操る

Sigfoxの「閉鎖性」をリセット

「会社更生手続の力を借りることはネガティブに捉えられがちだが、必ずしもそうした面だけではない。すべてをリセットしてやり直すトリガーになるからだ」

内側にいたからこそ、問題はよく見えている。ボン氏がリセットする点の1つは、Sigfoxの「閉鎖性」だ。

「Sigfox社は自分たちの技術に自信を持っていた。それが故に閉鎖的で、独自技術の独自ネットワークに閉じ籠っていた」

新生Sigfoxは一転、「オープン化」を推し進めていく方針だ。

「Sigfoxが大変優れた特徴を持っているのと同様、LoRaなど他のLPWAもそれぞれ長所を持っている。今後は、各LPWAが競り合うだけではなく、助け合うことも必要だ。Sigfoxをオープンにすることで、他のLPWAとのコンバージェンス(融合)を進め、LPWA市場全体を成長させるドライバーになりたい」と語る。

つまり、目標はSigfoxの再建にとどまらない。UnaBizが狙うのは「急速な立ち上がりが期待されたものの、現実を見ると、その期待にまったくキャッチアップできていない」と同氏が冷静に分析するLPWA市場、IoT市場全体の巻き返しである。

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