韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第12回]韓国インチョン空港のNFC実験――スマホでチェックインから出国審査、搭乗ゲート案内まで

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。今回はインチョン空港で行われているNFCの先進的なトライアルについてお伝えする。

NFC+位置情報で免税店での滞在時間を2倍に

このようにインチョン空港では、NFCを活用した各種手続きの効率化が進められている。これにより、利用客の満足度向上を図ろうというわけだが、空港側の狙いとしては売上拡大もある。各種手続きにかかる時間が短縮されれば、免税店での買い物などにあてられる時間も増加するためだ。そこで、さらに位置情報との連携サービスも提供されている。

インチョン空港でのNFCトライアルでは出国審査後、各利用客には飛行機に乗り込むまで搭乗時間を知らせるメールがプッシュ配信されるほか、現在地から搭乗ゲートまでの行き方や所要時間も案内される。利用客が搭乗時間まで安心して、たっぷりとショッピングや食事などを楽しめるようにサービスを充実させているのである。

NFCだけでなく位置情報も活用して空港の利便性を向上
NFCだけでなく位置情報も活用して空港の利便性を向上

アジア有数のハブ空港であるインチョン空港は、世界で最も商業的に成功している空港の1つと言われている。その理由の1つは免税店での売上の多さだ。

日本の地方空港とを結ぶ便も多数就航しており、インチョン空港経由で海外に出かけた経験を持つ方は多いだろう。こうした乗り継ぎ便でのトランジットでは通常、待ち時間が発生する。インチョン空港では、この待ち時間中に免税店でどんどん買い物してもらおうと様々な積極策を仕掛け、成功を収めてきた。今回のNFCトライアルも、このシナリオの強化策の1つであり、NFC導入によって利用客の滞在時間は約2倍に増えると予測しているという。

NFCの活用により、免税店やラウンジ施設の滞在時間が倍増すると予測しているという
NFCの活用により、免税店やラウンジ施設の滞在時間が倍増すると予測しているという

なお、インチョン空港でのNFCトライアルには、携帯キャリアは参加していない。NFCの活用部分は基本的に携帯キャリアの回線を使わずに済むため、出番がないからだ。言い換えれば、NFCさえ搭載されていれば回線や端末の種類に関係なく利用できることが、今回のNFCトライアルでは期待されているのである。

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橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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