「Wi-Fi 6EのAPがほぼ完売」ネットギアがメッシュWi-Fiで市場に攻勢

米シリコンバレー発ネットワーク機器ベンダーのネットギアは今、ビジネス向けメッシュWi-Fi「Orbi Pro」シリーズを主力に展開している。日本でもメッシュWi-Fiの普及の兆候が出ているという。海外では新規格のWi-Fi 6Eが解禁され、こちらもWi-Fi市場にとって追い風となっている。ネットギアジャパン 代表 杉田哲也氏に同社の現状と戦略を聞いた。

「家の狭さ」はメッシュの障壁ではない──日本でのメッシュWi-Fiの状況はどうでしょうか。

杉田 少し他国に比べて遅れていますが、ユーザーは日本でも徐々に増えています。

──日本の家屋は狭く、通常のWi-Fiで十分エリアをカバーできることから、メッシュWi-Fiが浸透しないという声もよく聞きます。

杉田 家の広さはあまり関係ないと考えています。その証拠に、香港やシンガポールなどでは、トライバンドのメッシュWi-Fiの売り上げが大きいです。これらの国は日本と同様に光回線が普及しており、家も狭く密集していますが、カバレッジと安定性が好まれる傾向にあります。

日本での普及が遅れている原因は、メッシュWi-Fi自体の認知度がまだ低く、そのメリットもあまり浸透していないからだと考えています。日本市場でローエンドからハイエンドまでメッシュWi-Fiを提供しているベンダーは当社くらいではないでしょうか。

現在はメッシュWi-Fiにとって過渡期です。「メッシュWi-Fi」というキーワードはお持ちでなくとも、高速なWi-Fiを広いエリアで使いたいというニーズが表出してきています。在宅勤務に限らず、オフィスなどでも入れ替え需要でほぼ毎日引き合いを頂いています。

ネットギア法人向けポートフォリオ
ネットギア 法人向けアクセスポイントのポートフォリオ


──日本では今後どのようにビジネスを展開しますか。

杉田 我々の主なユーザーは中小企業ですが、中小企業にこそ高品質なネットワークを使ってもらいたいという思いから、そこに向けてハイエンドなソリューションの提供に注力していきます。例えば当社の「SXK80」は屋内外に最大200㎡のカバレッジが構築可能なアクセスポイントですが、これらのソリューションの売上を3か月ごとに成長させていくことが現在の目標です。

中小企業と言っても幅広いですが、個人経営の病院や喫茶店なども我々のターゲットであり、ハイエンドと言ってもこれらの企業でも買えるような価格帯です。

近年は個人経営の病院や喫茶店でもフリーWi-Fiを提供するケースが増えていますが、こうした需要に当社のOrbi Proシリーズやソフトウェアは応えられます。

ネットワークなどのインフラは「それなりに速い」程度の性能ではあまり生産性が変わらないと考えています。劇的に高速化してこそ、初めて生産性や仕事の効率アップ、ビジネスの拡大などを実感できると考えています。

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