5G/ローカル5Gや金融取引システム、さらには放送システムなど、ミッションクリティカルな領域でのIPネットワークの活用が広がるなか、それを下支えする基盤としての時刻同期ネットワークの重要性が高まっている。

こうした活用領域の拡大とともに新技術・方式の普及も相まって、時刻同期に関するニーズは多様化した。長らく用いられてきたNTPに加えて、より高精度・高信頼なPTP方式の導入も進展。アプリケーションに応じて、要求される精度と信頼性を満たし、かつ投資対効果の高いソリューションを選ぶのはますます難しくなっている。

この状況に、幅広い製品ラインナップと豊富なノウハウで対応しているのが、「時刻」と「IPネットワーク」の両面に精通したセイコーソリューションズだ。時刻同期が内包するリスクや、ユーザー側の運用負荷まで見据えたそのソリューション提案から、投資対効果の高い時刻同期の環境を構築するためのポイントを押さえていこう。

タイムサーバーも回線も運用もすべてワンストップで提供時刻同期と聞いて多くの人が思い浮かべるのが公開NTPサーバーの利用ではないだろうか。ただ、そこにはリスクがあると話すのはタイミングソリューション営業部長の鈴木康平氏だ。「公開NTPサーバーの利用には、DDoS攻撃の懸念がある。NTPサーバーの状態を確認するmonlist機能を悪用し、送信元を偽装したパケットを送りつける手法だ。公開NTPサーバーの利用は、セキュリティ上望ましくない」

セイコーソリューションズ 戦略ネットワーク本部 タイミングソリューション営業部 部長 鈴木康平氏

さらに、公開NTPサーバーには正確性の保証がない上、サービスがダウンしたことに気づかないといったことも起こり得る。こうしたリスクを回避する方法が、NTPアプライアンスサーバーの導入である。インターネットを経由せずに使えるためDDoS攻撃のリスクが回避できるほか、高精度の時刻情報をつねに参照できるなどのメリットがある。

ただし、NTPサーバーを実際に導入・運用するには相応の負担がかかる。「時刻情報をGNSS（全球測位衛星システム）から取得するNTPアプライアンスサーバーを使う場合、屋上等へのアンテナ設置などの手間があり、一般企業の方が実行するにはかなり骨が折れる。これを改善するソリューションが求められていると感じていた」と鈴木氏。そこで同社が最近注力しているのが、「セイコータイムマネージドサービス」だ。

これは、NTPアプライアンスサーバー等の機器と回線契約、そして設定から保守までオールインワンで提供するマネージドサービスである。障害対応も含めてセイコーソリューションズが面倒を見るため、ユーザーは「手間も専門知識も不要」。多くの企業から支持を集めている。

このサービスは、NTPサーバーと拠点をつなぐ回線として、有線か無線かを選べる柔軟性も備える。「セイコータイムマネージドサービス光TJJY」（図表1）は、NICT（国立研究開発法人情報通信研究機構）が提供する時刻情報をソースとして用い、NTTのひかり電話で接続。もう1つの「セイコークローズドモバイルNTP」を選べば、閉域モバイル網を経由して、セイコーソリューションズの時刻配信センターが供給する時刻をソースとして使うことができる。

図表1　セイコータイムマネージドサービス光TJJYのサービス構成

公共インフラや金融機関のシステム、さらには電子カルテ等の医療システムまで、正確な時刻同期が必要となる現場は珍しくない。手間とリスクを増やさずにそれを実現したい場合に、まさにうってつけのサービスだ。