5GのRANが、4G/LTEと決定的に違う点は「オープン化」と言えるだろう。
従来、RAN用の装置は1社のベンダーが提供することが多かった。それが、5GではO-RAN Allianceのイニシアティブによりインターフェースの統一が図られ、集約基地局(CU)、分散局(DU)、無線送受信部(RU)等に機能が分離。マルチベンダーの装置でRANを構成可能になり、機器調達や機能選択の自由度向上、ベンダーロックイン防止などのメリットが得られるようになった。
ただ、オープン化によって生じた新たな課題もある。その1つがテストの煩雑化だ。CU/DU/RUを個別に検査したうえで、それぞれの相互接続性とRAN全体でのパフォーマンスもテストする必要がある。そうしたなか、「マルチベンダーで構成されている各機能と全体、RANからコアネットワークまでをエンドトゥーエンド(E2E)で検査できることが当社の強みです」と胸を張るのはVIAVIソリューションズの岡部真弘氏だ。
(左から)VIAVIソリューションズ カントリーマネージャー 岡部真弘氏、寺前セリオ信幸氏
同社では、CU/DU/RUを試験する「CU-SIM」「DU-SIM」「RU-SIM」「Core-SIM」を提供している。基本的な機能試験や負荷試験、パフォーマンス測定などが可能なシミュレーターだ。
さらに、これらのシミュレーターは別のユニットを模擬できる機能を搭載している。例えば、RUだけが納品されDUが開発中の時なども、「DU-RU間のプロトコル検証などだけでなく、DUに大量にRUが接続した場合の負荷試験なども行えます」。この機能により、テストのスケジュールを圧縮することが可能だ。
RU-SIMの外観。他ユニットや端末が複数つながったケースなども測定する
その他、O-RAN Allianceでは、RANのインテリジェント化のため、「RAN Intelligent Controller(RIC)」を推進しているが、このRICをテストするソリューションも同社では提供している。「当社ではRICに大きな負荷がかかった場合など、様々なケースを想定したテストが行えます」(岡部氏)。
1台に6台分の機能を搭載 ミリ波帯も試験可能5G/ローカル5Gのフィールドテスト用には、「OneAdvisor-800(ONA800)」と「CellAdvisor5G (CA5G)」を提供する。これらはOTDR(光パルス試験機)、ケーブル・アンテナアナライザー、ファイバースコープという3つの単機能ツールを搭載しており、「光ファイバーからイーサネット、RF(無線)などE2Eのネットワークにおいて、波形解析、信号測定、電波品質の測定が可能で、実質的に6台分のツールを詰め込んでいます。業界内ではいまだにONA800/CA5Gと同等の機能を1台に詰め込んだツールは出てきていません」とVIAVIソリューションズの寺前セリオ信幸氏は説明する。ONA800はサブ6まで、CA5Gはミリ波帯の44GHzまで試験可能だ。オールインワンの機能を持つONA800/CA5Gがあれば無線だけでなくコアネットワークも含めた、全領域のテストが可能になる。
OneAdvisor-800は1台で6台分のツールの機能を果たすオールインワン製品
ONA800/CA5Gの需要はローカル5Gの解禁後、キャリアやベンダー、通信建設会社に留まらず、ユーザー企業へも大きく広がっているという。「ローカル5Gは黎明期であり、あらゆる現場で様々なトラブルが発生しているため、入念なテストは欠かせないと考えています」と寺前氏。オールインワンのONA800/CA5Gの採用は今後さらに増えていきそうだ。
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