「このラボは共創を加速させる場。今年度は10社の共創パートナーと契約を結ぶのが目標だ」

パナソニック コネクティッドソリューションズ社（パナソニック CNS社）とパナソニック システムソリューションズ ジャパン（PSSJ）は6月25日、ローカル5Gの検証・実証が行えるラボ「Network Connect Lab」を神奈川県横浜市の佐江戸事業場内に開設。

同日に開かれたメディアツアーの席上で、PSSJ パブリックシステム事業本部 システム開発本部 ネットワークサービス事業センター センター長の野口太一氏は、「パートナーと多様なユースケースを創出していきたい」とラボ開設の狙いを語った。

パナソニックが開設した「Network Connect Lab」の概要

現場マルチネットワークサービスの実証・共創環境「現場プロセスイノベーション」を看板に掲げ、現場向けDXソリューションに力を入れるパナソニック CNS社。そのための「コア事業」（野口氏）の1つとして今年2月に発表したのが「現場マルチネットワークサービス」である。

これは、様々な現場向けのネットワークを、ソフトウェアやエッジデバイスも組み合わせて提供するというソリューションだ。「マルチ」とある通り、プライベートLTEやWi-Fi、そしてローカル5Gと、その現場に適したネットワークをマルチで提供できる点を特色の1つとする。さらに、これらのネットワークを5Gコアで統合的に制御することで、複数ネットワークの一元管理も実現する。

今回開設したNetwork Connect Labは、この現場マルチネットワークサービスの検証・実証環境となるものだ。現在、検証・実証できる無線ネットワークの種類は、ローカル5G、sXGP、自営等BWA（シールドテント内）、Wi-Fiである。

ローカル5G、プライベートLTE、Wi-Fiと様々な無線ネットワークの検証・実証が行える

ローカル5Gでスタジアムの映像制作現場をイノベーションローカル5Gを活用したアプリケーションを体験できる2つのデモ設備も用意した。まずは、スタジアムでの映像制作を想定したデモだ。

ローカル5Gを活用することで、映像制作のリモート化、自由な機器設置による映像表現の多彩化などを実現できるという。

スタジアムを模した、ローカル5Gを活用した映像制作のデモ設備

PSSJ パブリックシステム事業本部 システム開発本部 プロセスソリューション事業センター センター長の梶井孝洋氏によれば、Netflixのような映像配信サービスが普及するなか、映像制作需要が拡大している。しかし、他業界と同様、映像制作業界も人手不足やコロナの感染対策に悩まされているのが現状だ。

スタジアムの映像制作環境そのものも大きな課題を抱える。昔ながらの同軸ケーブルで映像制作環境を構築しているスタジアムの場合、ケーブルの数は「600～1000本」（梶井氏）。同軸ケーブルは機器同士を1：1でつなぐことしかできず、またケーブルを100m以上に伸ばせないためだ。

最近は、光ケーブル等によるネットワーク化を進めるスタジアムが増えており、ケーブルの本数自体はだいぶ減った。だが、それでも有線であるかぎり、試合毎に発生する仮設配線工事の負担、カメラの可動エリア制限といった課題は解消できない。

そこで、映像伝送に必要な帯域を安定的に確保できるローカル5Gを、スタジアムの映像制作に活用しようというのがパナソニックの提案だ。

ローカル5Gを活用したスタジアム映像制作のメリット

デモ環境では、ローカル5Gに対応した同社の中継用リンク装置「5G-GateWay」を介して、ネットワークカメラの映像を伝送する。5G-GateWayとカメラ間こそ今は有線接続だが、カメラ設置の自由度向上と配線工事の省力化が図れるという。

また、従来は全スタッフがスタジアムに集まって映像制作を行うのが一般的だったが、このデモ環境ではリモートスタジオも用意。ネットワーク化を進めることで、映像制作業務のリモート化、分散運用が可能になることをアピールしている。