“壁と紙を無くして働き方を変える!”―― NECネッツエスアイが新オフィスを公開

NECネッツエスアイが移転間もない新本社オフィスを公開した。フロア効率の向上によるコスト削減と、業務プロセス改革などを掲げて進められた同社の移転プロジェクト。「オフィス見学ツアー」で見えたその成果の一端を紹介しよう。

NECネッツエスアイは2010年10月14日と15日の両日、10月1日から業務を開始した新本社(飯田橋ファーストタワー)のオフィス見学ツアーを行った。

同社は5月に、従来複数拠点に分散していた本社機能を新本社に移転・集約すると発表。合わせて、ICT利活用とファシリティ施工を組み合わせてワークスタイルと業務プロセスの改革を行い、新オフィスを、顧客企業へICTソリューションを提案する際のショールームとして活用する計画を立てていた。新オフィスへは8月から順次移転を開始。ペーパーレス化の推進、フロア利用効率の改善などの取り組みも進め、10月1日から本格稼働した。

今回のオフィス見学ツアーでは、営業・SE部門、公官庁・通信キャリア向け事業部門などが属する数フロアを公開。実際に同社社員が業務を行う様子を紹介しながら、新オフィスのコンセプトと効果などについて説明した。

NECネッツエスアイ新オフィス内の様子。ペーパーレス化の徹底により紙の保管スペースを無くし、社員が仕事の内容に応じて働く場所を選択できるフリーアドレスオフィスを実現した。ミーティングスペースも壁を取り払って「見える化」「見せる化」することで、情報共有を活性化している

新オフィスを一目見て印象づけられるのは、とにかく仕切りや壁が少ないことだ。フリーアドレス制が敷かれており、「ノンペーパーワーキング」と呼ぶ徹底的なペーパーレス化により、社員はPCを抱えて自由に移動することができる。無線LANを使ったケーブルレスオフィスとし、机もキャスター付きで容易に動かせるため、プロジェクト単位など業務の関連性の強いメンバーが集まるなど、仕事の内容に応じて社員は場所を選択しながら業務を進めている。

いわゆる「会議室」もほとんど設けられていない。会議や打ち合わせは通常の執務スペースの一角で、どこでもすぐさま始められる。オフィス内のそこここには、ネットワークにつながった大型ディスプレイやプロジェクタが設置されており、手元のPCから資料が映し出せる。見学ツアーの説明に当たったNECネッツエスアイ・マーケティング本部マーケティングマネージャーの吉田和友氏によれば、こうしたオフィス設計のベースには「打ち合わせの見える化」というコンセプトがあるという。

フロアの中央部に設けられているミーティング・プレゼンスペース「AGORA」。複数部署の社員が移動する動線の交点に位置しており、大型スクリーンに投影された資料やデータも、話し合われる議論も、外側を行き来する社員から見えるように設計されている。通りすがりの社員が議論に加わったり、関連するプロジェクトの情報を得たりなど、組織・プロジェクトの壁を超えた情報共有を活発化させるための仕掛けだ

外から中が見えない会議室ではなく、誰からも見えるスペースで会議を行ったり、オフィスのど真ん中とも言える場所に置かれたディスプレイに資料を投影してミーティングを行うことで、プロジェクトや組織内での情報共有、コミュニケーションが活発化するのに加え、その壁を超えた議論も誘発される。もちろん、「見える」「見せる」関係は打ち合わせの場面だけに留まらないため、個人レベルでも、他者とのつながりや自律性、意欲の向上が見られるという。マネジメント層に関しても、周囲の状況を把握しやすくし、多様な情報が集められる、問題点が見つけやすい、部下との対話が増やせるといった効果が表れているという。

こうした新オフィスの設計に当たっては、「『これから何十年も当社で働く若手に、自分が働きやすいオフィスを考えてほしい』という社長の希望により、若手管理職が中心になってコンセプトから練り上げた」(吉田氏)そうだ。その成果として、同社内でも特に縦割りの構造となっていた官公庁・通信キャリア向けの事業部門でも、オフィス構造を一新。従来の顧客ごと製品ごとではなく、機能や技術ベースに組織体制を改めた。

また、働き方に及ぼす影響だけでなく、コスト削減の面でも大きな効果を出している。会議室や紙の保管場所といった非効率な“固定スペース”をなくし、また執務スペースの利用効率もさらに改善したことで、フロアスペースは移転前に比べて30%も削減。賃料だけでなく、空調・照明の電気代等も含めて、多額の固定費を削減できたという。

NECネッツエスアイでは要望に応じて、こうしたオフィス改革に向けた取り組みを紹介する見学ツアーを今後も随時行っていく方針。ショールームではなく、実際の社員が動きまわる「壁をなくしたオフィス」「紙を使わない働き方」を目の当たりにすれば、ワークスタイル変革へのヒントが数多く得られるはずだ。

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