NTTコミュニケーションズは2020年6月15日、VRをはじめとしたxRを活用し、企業や学校などでのあらゆる活動を非対面で仮想的に実現するxRビジネスを本格展開すると発表した。
xRはxRealityの略で、VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)、SR(Substitutional Reality:代替現実)などの仮想空間技術の総称。
今回、その一環として、学校におけるVR学習の有効性に関する実証実験を行った。
実験は、京都市の同志社中学校において、2020年2月に行われた。生徒を12名ずつ2つのグループに分け、入国審査やレストランでの注文など、留学や海外旅行で必要となる英会話を学習した。
VR学習を行う同志社中学の生徒と
VRを活用した学習例(入国審査のシーン)
一方のグループはスクリプトと音声教材による従来の方法で学習し、もう一方のグループは、VRを活用し現実さながらのコミュニケーションを体験。その後、それぞれのグループの生徒に対し理解度テストを行い、ネイティブスピーカーと英語教諭が、習熟度を5項目で評価することで、グループ間の習熟状況の差異を比較した。
実証実験のイメージ
実験の結果、VR学習を行ったグループは、従来の方法で学習したグループに比べ、「レスポンス」、「発音」、「正確性」、「理解力」の4項目で、スコアを上回っていた。特に「正確性」では約10%向上が見られた。
採点項目と観点
また、今回VR学習を体験した生徒を対象にアンケート調査を行ったところ、約74%の生徒が「VRによる学習方法は効果がある」と回答。その理由として「本当にそこに外国の方がいるようで、理解度テストではあまり緊張しなかった」などの声が挙がっており、VRで疑似体験をすることで、テストでも落ち着いて対応できることが効果として挙げられた。
NTTコムは、教育とVRとの親和性が高いことが判明したため、今後学校教育にとどまらず、医療や観光業など、さまざまな産業分野の教育・研修活動におけるVRの活用を積極的に進めていくとしている。