ローカル5Gのコア設備はオンプレミスがいいか? 共用がいいか?

ローカル5Gのシステム構成には、全設備をオンプレミス型で設置・運用する形態と、コア設備をクラウド型で使うハイブリッド型の2種類がある。後者なら、初期コストや運用負荷を抑えることが可能だ。

5Gネットワークの構成要素は、基地局等のアクセス設備(RAN:Radio Access Network)と、コアネットワーク設備に大きく分けられる。

コアネットワークは、NSA(Non Stand Alone)の場合はLTEのコア網であるEPCを、SA(Stand Alone)の場合は5G Core(5GC)を使う。どちらも認証・セキュリティ管理、セッション管理、ポリシー制御、パケット転送等の機能の集合体であり、ローカル5G向けには汎用サーバー上で稼働するソフトウェア、あるいはアプライアンスサーバーで提供される。

ローカル5Gを導入する場合、施設内にRAN設備を設置し、EPC/5GCとオペレーションサポートシステムをサーバーやプライベートクラウドで運用する形が基本となる。

コア機能はサービス型でここで問題となるのが、設備一式をオンプレミス型で導入するための初期コストと運用負荷だ。多額の初期投資が必要なうえ、一般的な企業やSIerにとっては、これまで扱ったことのないセルラーネットワークの運用管理も大きな負担となる。

そのため実際には、すべての設備をオンプレミス型で導入・運用するケースは限定的になるという見方もある。エリクソン本社でプライベートネットワーク事業を統括するマヌエル・ルイズ氏は、「オンプレミス型は通信品質に対する要求条件が非常に高い場合や、機能を絞ったシンプルなユースケースに限られるだろう」と話す。同社が手掛けるプライベートLTE/ローカル5Gの導入事例の多くが「ハイブリッド型」だという。

ハイブリッド型とは、コアネットワークの全部または一部をモバイルキャリア(以下、MNO)等の設備と共用するモデルだ(図表1)。MNO等がコア機能をホスティングサービスのような形でユーザー向けに提供し、これをオンプレミスのRANと連携させて利用する。

図表1 コアネットワーク機能のクラウドサービス化のイメージ
図表1 コアネットワーク機能のクラウドサービス化のイメージ

なお、ローカル5G向けのコア機能は、公衆網のLTE/5G設備とは「VNF(仮想ネットワーク機能)を分けて」(同氏)提供される。

月刊テレコミュニケーション2019年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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