ネットワン「サブスク拡大」の理由――オンプレとクラウドの中間で新ビジネスモデル

定額型のサブスクリプションサービスが様々な領域に広がっている。企業のICTインフラも例外ではない。ネットワンが、期間支払型でICT基盤を利用できる“サブスク”型の新モデルで実績を積み上げている。

NIer大手のネットワンシステムズが2年前に始めたサブスクリプション型ビジネスが好調だ。

同社は2017年に、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェア等で構成されるICT基盤をサービスとして提供する「NetOne“all in”Platform」(以下「all in」)を開始した。ユーザーは構成機器・ソフトを購入する必要がなく、初期投資不要、月次・年次等の期間支払い型で利用できる。現在、この売上高は、全売上の1割近くまで増えているという。

従来の売り切り型ビジネスからの転換を進めるため、3年前に新設されたキャピタルサービス部の部長を務める石橋和明氏は、「お客様に広く受け入れていただき、初年度から倍々で伸び続けている」と話す。

all inは、顧客企業が必要とする「機能」をサービスとして提供するのがコンセプトだ(図表1)。機器/ソフトはネットワンが保有するかたちで、ユーザーが求める機能を実現するためのICT基盤を構築。ユーザーは、保守運用サービスも合わせて利用できる。

対象範囲は「ネットワンが行うビジネスすべて」(石橋氏)。サーバーシステムからネットワーク/セキュリティまで、企業ICT全般にわたって“サブスク化”が可能だ。

図表1 NetOne“all in” Platformの提供イメージ
図表1 NetOne“all in” Platformの提供イメージ

クラウドの不満・不便を解消「所有」より「利用」のニーズは年々増しており、Office 365やAWS等のクラウドサービスがその受け皿として普及してきた。一方、オンプレミスシステムの構築を担ってきたSIer/NIerの多くは、依然として旧来のビジネスモデルから抜け出せていない。

ネットワーク機器メーカーも最近では、クラウドWi-FiやSD-WANサービスのように月額課金型で利用できるサービスを手がけてはいるものの、導入時には機器の購入が必要なものが多く、ユーザーの要望を満たしきれていないのが現状だ。

そうしたなか、all inが支持を得た理由は、オンプレミスとクラウドの中間を狙った点にあると石橋氏は語る。

all inのユーザーは機器/ソフトの構成から保守・運用サービスの組み合わせ、支払形態(月次・年次・不均等支払い等)、契約期間まで自由に設計できる。予め決められたメニューから機能や支払方法等を選択しなければならない一般的なクラウドとは異なり、「テーラーメイドで作る」(石橋氏)かたちだ。ユーザーは、クラウドを利用する場合の不満や不便が解消される。キャピタルサービス部 営業統括チーム シニアマネージャーの田崎博之氏は、「オンプレミスと同じイメージでシステムを構築しつつ、クラウドのように支払える」とメリットを語る。

なお、定型的なメニューも用意しているが、顧客の大半が大手企業なため、フルカスタマイズ可能という点が大きな強みになっているという。

図表2 オンプレミス/クラウドとNetOne“all in” Platformの比較
図表2 オンプレミス/クラウドとNetOne“all in” Platformの比較

月刊テレコミュニケーション2019年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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