IDC Japanは2019年7月1日、2018年の国内企業向けネットワーク機器市場の実績と予測を発表した。対象の機器はルーター、イーサネットスイッチ、無線LAN機器。2018年は前年比成長率5.9％と2年連続のプラス成長で、市場規模は2374億1000万円だった。

最も成長したのが無線LAN機器市場だ。無線LANコントローラーを含めた市場規模はは前年から24.8％増加した。

背景には「ワイヤレスファースト」が浸透していることがある。IDCによれば、企業がネットワークへのアクセス手段として無線を第一に考えるようになっている。モバイルデバイスの活用や、働き方改革に伴う働く場所の変化なども後押ししているという。

2018年は企業向けイーサネットスイッチ市場も前年比成長率5.3％と好調だった。企業内LAN向けもデータセンター向けも拡大し、企業内LAN向けは前年と比べ4.8％成長した。背景には無線LAN導入拡大に伴う有線LAN環境を見直す気運の高まりや、ネットワーク自動化、可視化、セキュリティ強化に伴うLAN環境の更新機会の増加がある。

IDCは今後も、企業向け無線LAN機器市場は成長を続けるとみている。同市場の2018年～2023年の年間平均成長率はアクセスポイントの出荷台数が4.6％、支出額ベースで2.1％と推定する。

一方で企業向けイーサネットスイッチやルーター市場は、成熟化が進むため、2018年～2023年の年間平均成長率はマイナス3.5％と予測している。

IDC Japanの草野賢一氏は「企業向けネットワーク機器ベンダーは、ワイヤレスファーストにふさわしい無線ネットワークの実現に向け製品開発いっそう強め、有線ネットワークと同等の導入および運用における容易性の実現に努めるべきである。有線ネットワークのような「手軽」で「手間なし」と表現できるレベルにまで到達するには改良の余地は今なお多く残されている」と述べている。

国内企業向けネットワーク機器市場 支出額予測、2017年～2023年