ファーウェイが“疑念”に反論 「第三者機関による検証を」

昨年来、注目を集めている米国によるファーウェイ排除の動き。中国のスパイ行為に利用される懸念があると米国は主張するが、そうしたリスクは本当にあるのか。ファーウェイ・ジャパンの赤田CTOが反論する。

「『基地局で情報を盗み取ることなどできない』ということは、少なくとも通信事業者の方は理解しているはず」

ファーウェイ・ジャパンでCTOを務める赤田正雄氏は、同社の4G/5Gネットワーク製品にかけられた“疑念”にこう答える。

米国は、2018年8月に成立した国防権限法(NDAA2019)に基づき、ファーウェイなど中国企業5社を政府調達から排除すると決めた。中国政府によるスパイ活動にファーウェイ製品が利用される可能性があり、安全保障上の問題があるというのだ。同盟国にも同様の措置を要請しており、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本も同調したと報じられている。

とはいえ、米国はスパイ行為に関する具体的な証拠を提示できているわけではない。そのため今回の動きは、デジタル経済をめぐる米中の覇権争いの側面が強いという見方も多い。

基地局から情報は盗めないでは、ファーウェイの4G/5G製品を導入することに、本当にリスクはあるのか。「基地局は、暗号化されたデータをコアネットワークに受け渡す“土管”であり、ユーザーデータや制御信号を認識すること自体ができない。データの盗み出しなどは技術的に不可能」というのが赤田氏の説明だ(図表)。意図的な悪意に限らず、仮に基地局に何らかの脆弱性が含まれていたとしても、「サイバーセキュリティの問題とは全く関係がない」と断言する。

図表 4G/5Gモバイル通信におけるセキュリティ
図表 4G/5Gモバイル通信におけるセキュリティ

ただ、基地局は大丈夫だとしても、コアネットワークはどうか。コアネットワークでは、ユーザーデータが扱われる。

赤田氏の意見はこうだ。コアネットワークは通信事業者自身の手で運用・管理され、そのトラフィックは常に厳しく監視されている。通信事業者に気付かれずに、機器ベンダーがバックドア(情報を不正に取得する裏口)を仕込み、情報搾取することは極めて困難である。

ファーウェイは30年にわたって通信インフラビジネスに取り組み、170カ国以上にソリューションを展開しているが、スパイ行為などをしたことは、当然「一度もない」と主張する。

月刊テレコミュニケーション2019年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。