「5GとWi-Fiは補完関係にある」―― Wi-Fi業界団体が最新動向を解説

無線LAN機器の相互接続認証などを行う業界団体「Wi-Fi Alliance」は2017年7月26日、都内で会見を開き、現在の活動やWi-Fiの最新動向、5G(第5世代移動通信システム)との関連性などについて説明した。

「Wi-Fiほど普及している通信技術はない」――。

Wi-Fi Allianceのマーケティング担当ヴァイス・プレジデントを務めるケビン・ロビンソン氏はそう切り出し、まずWi-Fiの普及の現状を紹介した。現在利用されているWi-Fiデバイスの数は80億台を超えており、「インターネットトラフィックの半分以上がW-Fiを経由している」という。


Wi-Fi Alliance マーケティング担当ヴァイス・プレジデントのケビン・ロビンソン氏

デバイス数は今後も順調に伸びる見込みだ。Wi-Fiチップセットの出荷台数は2021年までに40億に到達し、デバイスの累計出荷台数は320億台を超えるという(ABI Research社調べ、2017年1月)。なお、現在は「IEEE802.11ac」規格が主流だが、2018年以降は次世代規格である「802.11ax」および60GHz帯を用いる高速通信規格「WiGig」(802.11ad)への移行が始まると予測している。


Wi-Fiチップセットの出荷台数(ABI Research社調べ)

5Gの中核技術は「Wi-Fiですでに実現」
ロビンソン氏は次に、2020年の実用化が見込まれる5GとWi-Fiの関係について述べた。

5Gでは、超高速通信や超低遅延通信、そして膨大な数のデバイスを収容する多端末同時接続などが実現される見込みだが、それらを可能にするために「5Gで必要とされる様々な技術は、すでにWi-Fiで実現されている」と同氏は話した。


ロビンソン氏は「Wi-Fiは5Gの基盤を実現する技術だ」と語った

例えば、多数の端末と同時通信を行い、かつ安定した通信品質を担保するには高密度に基地局を設置する必要があるが、「Wi-Fiは5Gの密度要件に十分に対応できる技術を持っている」。マルチギガビットや低レイテンシーの通信もWiGigですでに実現しており、11acの第2世代(Wave 2)では、下り方向の通信のみではあるが、複数端末と同時通信を行うマルチユーザーMIMO(MU-MIMO)もすでに実用化されている。

さらに、次世代規格の11axでは上下方向のMU-MIMOや、LTE等でも利用されてきたOFDMA(直交周波数分割多元接続)も採用し、「高密度環境でも優れたエクスペリエンスが提供できる」とロビンソン氏。こうした技術によって、5GとWi-Fiは補完関係を築きながら発展していくと展望した。

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