ICT業界 未来シナリオ2017AIがアシストする未来のオフィス――空間そのものがパートナーに

働き方が多様化する2020年代、人がオフィスに集まり議論する機会は貴重なものになる。未来のオフィスでは、その時間に最大の効果を上げるため、知性を備えた空間が我々をサポートしてくれるかもしれない。

いつでもどこでも仕事ができるようになるに伴い、オフィスの役割は徐々に変化すると考えられている。1人でできる作業はもちろん、単純な連絡・報告で足りる業務についても、“わざわざオフィスに行く”必要性は限りなくゼロに近づくからだ。

携帯電話やSNS・チャットを使えば簡単な会話や情報共有は支障なく行えるし、ビデオ会議ならより多くの情報を伝えられる。クラウド上でファイルを共有し、共同編集しながら資料を作り上げていく仕組みもある。バーチャルな空間で行う共同作業はますます増え、同じ時間・空間を共有しなければならないシーンはどんどん減っていく。

そうなると、オフィスはより本質的な機能を追求していくことになると指摘するのは、オフィスデザインを手がけるイトーキで先端技術研究所・所長を務める大橋一広氏だ。「やはり、組織の共同作業こそがオフィスの本質。長い目で見れば、オフィスには人が対面して行う協創作業の役割しか残らないのではないか」。つまり、人が対面して行う共同作業、コラボレーションによって価値を生み出す場としての役割だ。

空間そのものをロボット化では、イトーキは未来のオフィスの在り方と機能をどのように考えているのか。結論から言うと「擬人化」(大橋氏)だ。「オフィス空間そのものが我々のパートナーとして働いてくれる」未来を目指している。

それを具体的に示したのが、2020年代のオフィス像を示すコンセプト「アサッテのオフィス」だ。センシングやIoT、人工知能(AI)などのICT技術を駆使して、オフィス自体がアシスタント、秘書、ファシリテーターの役割を担うというものである。

目指すのは、人がコラボレーションに集中できる環境を作ることだ。

働き方と働く場所が多様化・分散化すればするほど、人が集まる機会は貴重になる。その貴重な時間に最大のパフォーマンスを発揮できるようにする役割こそが、未来のオフィスには求められるという考えだ。

例えば、会議の事前準備として行う資料の検索を、AIが代わりに行う。会話やホワイトボードに書いた内容を壁や天井のマイク/カメラが読み取って記録し、関連した情報を表示するといった具合だ。

また、議事が行き詰まったときには、打開するアイデアを導き出す助けとなりそうな資料や情報を探し出してくれたりもする。

夢のような話に思えるかもしれないが、行動履歴や文脈から「欲しがっているモノ」を察知して探しだしてくれる機能は、アマゾンで買い物する際に当たり前のように使っている。「技術的には決して夢ではない」のだ。

月刊テレコミュニケーション2017年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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