SIGFOX日本進出の「舞台裏」と「戦略」――KCCS黒瀬社長インタビュー

注目のLPWA技術「SIGFOX」の国内サービスを2月から提供開始する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)。同社の黒瀬善仁社長に、SIGFOXとの出会いから投資計画、売上目標、サービスアイディアまでを聞いた。

――京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、日本でSIGFOXのネットワークを展開すると発表しました。SIGFOXとの出会いはいつ頃だったのでしょうか。

黒瀬 きっかけは2015年のMWC(Mobile World Congress)です。

通信は年々ハイスペックになり、今や回線速度はMbpsが一般的です。しかし、「もっと低速でいいからとにかく安い通信回線」に対するニーズがあるのではないかと常々思っていました。そのような時にMWCでSIGFOXを知り、仏シグフォックスに詳しく話を聞いたところ、やっぱり面白かったんです。

日本に持って帰ってきて社内の技術部門でも見てもらいましたが、技術者の目線からも面白いという話になりました。そこで2015年の夏から詳しい調査を開始し、実証実験などを始めたのは2016年の年明け頃です。その後、2~3月頃にはSIGFOXをぜひ日本でやりたいと考えるようになりました。

――面白かった点は、具体的にどのようなところですか。

黒瀬 彼らの設計思想は、とにかく無駄をそぎ落として既存のものをうまく使います。いろいろと機能を付けたりせず、スタンダードなものを使えるようにしています。

一例として、今回のSIGFOXパートナー企業の村田製作所やSMKは通信モジュールを出してくれます。その2社は、以前からSIGFOXで利用しているのと同じ920MHz帯の通信モジュールを出していましたが、それにSDKを乗せるだけですぐにSIGFOX対応のモジュールになります。ハードウェアを一から設計する必要がありません。

京セラコミュニケーションシステム 代表取締役社長 黒瀬善仁氏
京セラコミュニケーションシステム 代表取締役社長 黒瀬善仁氏

――KCCSは日本のSNO(SIGFOX Network Operator)として、これからネットワークを整備していくことになります。投資額や目標売上などを教えてください。

黒瀬 2017年3月までに数億円を投じて東京23区、川崎市、横浜市、大阪市の4都市をエリア化し、その後はお客様の需要を鑑みながら2018年3月までに国内の政令指定都市でSIGFOXを提供できるようにします。2020年度には通信料金の売上100億円、累計契約デバイス数1500万台を目指します。この目標は、SIGFOXパートナーとともに見込み顧客を積み上げ、計算したものです。

SIGFOXのサービス開始を発表してからわずか2日ほどで、我々が想像していなかった分野からのニーズが寄せられています。考えもしていなかった団体や企業の方々からの問い合わせです。

月刊テレコミュニケーション2016年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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