LTE-Advanced Proを徹底解説――5Gへの橋渡し役を担う4Gの進化系

5Gへの橋渡し役となる4Gの拡張規格が「LTE-Advanced Pro」と呼ばれることになった。最注目は、IoT 向けのLTE仕様が盛り込まれること。日本でも早ければ来年に商用化される。

昨年10月、移動通信技術の標準化団体である3GPPは、2020 年代に普及が見込まれる5G(第5世代移動通信システム)と現行の4G(LTE/LTE-Advanced)との橋渡し役となる技術の名称として「LTE-Advanced Pro」を使うことを決めた。

具体的には、今年3月に基本仕様が固まる標準規格書「リリース13」以降で規定される4Gの拡張技術の総称がLTE-Advanced Proとなる。その当初の中身となるリリース13には図表1のような多様な技術が盛り込まれている。

図表1 3GPPリリース13で標準化される主な機能
3GPPリリース13で標準化される主な機能

進化を続ける4G

LTE-Advanced Proという言葉が用いられることになった理由の1つに、標準化に向けた議論の中で、5Gのサービス開始後、相当期間にわたり4Gと共通運用されることが明確になってきたことが挙げられる。

5Gでは、10Gbpsを超える超高速通信などに対応する新たな無線技術(いわゆるNewRAT)を用いて、まずトラフィックの集中する都心部などを中心にエリアを整備し、それ以外のエリアは既存の4Gのネットワークでカバーすることが想定されている。

また、5Gのエリア内でも4Gと5Gの電波をキャリアアグリゲーション(CA)で束ねて利用。伝搬特性に優れる2GHz帯や800MHz帯などでエリア整備されている4G側で、5Gの通信制御(コントロールプレーン)を担うことで安定した通信を実現する形が有力視されている(図表2)。

図表2 5Gと4G(LTE)のキャリアアグリゲーション
5Gと4G(LTE)のキャリアアグリゲーション

3GPPでは当初、リリース13を4Gの最終仕様とする予定だった。しかし、こうしたネットワーク構成を取る場合、5Gと4Gのスペックの差が大きく開くとサービスの展開が制約されることになる。そこで方針を転換し、当面並行して4Gの拡張を進めることにした。この「進化を続ける4G」が、LTE-Advanced Proなのである。

月刊テレコミュニケーション2016年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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