NEC、NTT、NTTコミュニケーションズ、富士通、日立製作所の5社は2016年3月10日、世界で初めて広域ネットワーク上の資源を動的に確保するSDNの基盤技術を確立したと発表した。
これは5社が共同で推進する研究プロジェクト「O3プロジェクト」の成果。今回確立した技術を活用すると、複数の通信事業者やISP、MVNOにまたがるマルチレイヤ・マルチドメインのネットワーク上に、様々なアプリケーションの品質要件を満たす広域な仮想ネットワークをオンデマンドに構築したり、ユーザーの利用状況の変化に対して動的にリソースを用意することなどが可能だという。
今回確立した技術の全体像 |
具体的には、今回開発した技術は以下の3つに分類される。まずは「共通制御フレームワーク技術」で、これは無線・光・パケットなどで構成されるマルチレイヤと運用主体の異なる区分(ドメイン)にまたがるマルチドメインで構成される複雑なネットワーク構成を構造化し、広域な仮想ネットワークの統合的かつ迅速な構築・運用を実現するための技術。
2つめの「マルチレイヤ・マルチドメイン統合制御技術」は、物理・仮想ネットワークの各リソースにおけるレイヤごと・ドメインごとの対応関係を格納するリソースプールを構築し、ネットワークリソースの動的制御を可能する技術だ。
そして3つめは、動的制御が可能になったネットワークリソースを用い、柔軟に通信装置(ノード)を実現する「仮想化対応SDNノード技術」である。
これらの技術により、従来ネットワークごとに必要だったノードを、光コアネットワークとパケットトランスポート、IPネットワークとトンネルプロトコルを各1台のノード(マルチレイヤノード)で実現できるため、ノード台数の削減と資源の効率利用を実現し、設備コスト(CAPEX)の削減が可能になるという。また、運用コスト(OPEX)の削減にもつながるとしている。