IoTで安全運行・道路状態診断富士通が「IoT」で狙う交通・道路ビジネスとは?

富士通はIoTを活用して車両の走行データと道路の状態を分析・提供する新会社を設立した。交通・道路分野におけるIoTビジネスを新たな成長の柱に据え、事業拡大を目指す。

「3年間データを溜め、ビジネスに使える目処が立ったため新会社を設立した」。2015年7月に発足した富士通交通・道路データサービス(以下、FTRD)の島田孝司社長はこう話す。

富士通交通・道路データサービス トランストロン
富士通交通・道路データサービス 代表取締役社長の島田孝司氏(左)とトランストロン 情報機器事業推進部 部長の田中充氏

これまで富士通は、「商用車データ分析サービス」と「道路データ分析サービス」を提供してきた。前者はトラックなどの商用車のプローブデータ(移動軌跡情報などの走行データ)を分析し、道路の整備効果や急ブレーキの多発個所の分析に役立つ情報を提供してきた。後者は道路の状態を把握・分析するサービスで、第一弾のサービスとして、道路の劣化状態を診断する「道路パトロール支援サービス」を自治体向けに提供している。

FTRDは、商用車データ分析サービスと道路データ分析サービスという2つのサービスを継承し、データサービス事業を育てていくことになる。

2つのサービスのうち、先行したのは商用車の走行データ分析サービスだ。契機となったのは、富士通といすゞが合弁で設立したトランストロンが2010年10月に商用車向けネットワーク型デジタルタコグラフの販売を開始したことである。

富士通は2012年にトランストロンのタコグラフが収集する商用車の走行データを分析して安全運行に役立つ情報にする取り組みを開始し、同年末に「エコ&セーフティベンチマークデータ」と「急ブレーキ多発マップデータ」という2種類の分析データの提供をスタートさせた。

同社はデータセンターに継続的に走行データを蓄積しており、その件数は4700億件にのぼる。大量の走行データを蓄積したことで、交通・道路データサービス事業を本格的に展開する時期が来たと判断した。「ビジネスのスピード感を出したい」(島田社長)と道路パトロール支援サービス事業とともに事業運営組織を富士通本体から切り離し、新会社を発足させた。

月刊テレコミュニケーション2015年11月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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