エス・アンド・アイ(S&I)とライフサイエンス コンピューティング(LSC)は2010年7月26日、中小規模の病院、診療所・クリニック向けの「医療クラウドソリューション」の提供で協業すると発表した。アップル社のiPadやiPhoneに対応した電子カルテおよびPACS(医用画像ファイリングシステム)のクラウド形式のサービスを2010年10月から順次提供開始する。
診療所・クリニック向けには、より低価格な電子カルテアプリケーションを備えたパブリッククラウドサービス「Karte Cloud(カルテ・クラウド)」を提供する。あらためて電子カルテシステムを購入する必要がなく、サービスとして短期間で導入できるのが特徴。診療データはすべてデータセンターに保管され、バックアップを含めたシステムの運用はすべてデータセンター側で行う。
ITの専門要員の確保が難しい診療所・クリニックはコストの削減、運用負担が軽減できる。さらに、iPadやiPhoneを使ってデータセンターから患者の診察データを参照して、在宅診療や診察の際に、その場で治療経過や診療状況を説明することができるため、患者のケアを重点においたインフォームドコンセントの促進につながるという。
また、200床以下の中小規模病院向けにも電子カルテやPACSなどの医療向けサービスを備えたプライベートクラウドを提供する。
両社の協業は、LSCが電子カルテやPACSなどの医療用アプリケーションの提供、S&IがLSCのアプリケーションをクラウド環境で提供するためのインフラの整備・構築を行う。なお、「Karte Cloud」は、日本IBMが推進する、「SOP(サービス・オリエンテッド・パートナリング)」に対応しており、同社のSOPパートナー企業を通じても提供される。