AIデータセンターで高まる「光」の重要性
AIを支えるデータセンターでは、GPUなどの計算装置の間で大量のデータをやり取りする必要がある。ヤン氏によれば、データ量が増えるにつれ、電気信号に加えて、光を使ってデータを伝送する技術の重要性が高まっているという。
その一つとして紹介したのが、「コパッケージドオプティクス(CPO)」だ。CPOは、光信号を扱う部品を、GPUやCPUなどの電子回路と同じパッケージ内に組み込む技術。「従来は電子回路と光通信の部品を別々に設計することが多かったが、両者を一体のシステムとして設計する必要がある」とヤン氏は説明した。
CPOでは、電子回路だけでなく、光通信に関わる部品やシステムまで含めて設計する必要がある。そこで同社は光学・フォトニクス分野の企業・事業を買収し、電子回路だけでなく光の設計も含めて扱える環境を整備。回路や光デバイスからシステムまでを一貫して設計できる環境の構築を進めているという。
電気・熱・構造を横断して解析

キーサイト・テクノロジー DESセントラル・ストラテジー・グループ シニアディレクターのクリス・ミュート氏
キーサイト・テクノロジー DESセントラル・ストラテジー・グループ シニアディレクターのクリス・ミュート氏は、電子機器の高性能化・複雑化に伴い、「電磁界・回路だけでなく、熱や構造など複数の物理現象を同時に考慮する必要が高まっている」と説明した。
製品が小型化・高性能化すると、電気的な特性だけでなく、発熱や部品の変形なども設計に影響するようになるという。例えば、電気回路で発生した熱によって部品の温度が上昇し、その温度変化が材料や構造に影響を与えるといった具合だ。
そのため、「電磁界・回路、熱、構造力学などを個別に設計するだけでは、製品全体の挙動を十分に把握できない」とミュート氏は指摘。こうした複数の物理現象を横断して解析する「マルチフィジックス」の重要性を説明し、キーサイト・テクノロジーが「Keysight Multiphysics」を提供していると紹介した。同製品は、電子機器の設計における複数の物理現象を考慮したシミュレーションを支援するもので、ミュート氏は「設計の早い段階で問題を発見できる」と説明した。

キーサイト・テクノロジーが進めるマルチフィジックスのアプローチ
また、計測機器の落下試験を仮想環境で行う事例も紹介。実際の製品を作ってから落下させるのではなく、コンピューター上で落下時の状態を再現することで、設計段階で問題を発見できる。これにより、試作品を作り直す回数を減らし、開発期間の短縮につなげられるという。
キーサイト・テクノロジーはAIやシミュレーションを活用することで、問題が発生してから対応するのではなく、問題を早期に見つけ、設計を早い段階で修正できる開発環境の実現を目指していくとしている。









