80種のツールと“組織の記憶”
もちろん、業務をサポートするAIエージェントとしての機能の豊富さも重要だ。
SaaSで提供しチャット型インターフェースから指示を入力するというのがAGENTIC STARの基本的な使い方になるが、MCP/APIで外部システムに組み込んでヘッドレス運用したり、SDKで機能ごとに利用することも可能だ。
約80種類のツールにより、提案書や作業報告書などのドキュメント作成、高度なリサーチ、コード生成、アプリケーション開発、BIツール作成、動画生成など幅広いアウトプットに対応する。リバースエンジニアリングも可能で、既存ツールやアプリケーションを分析して要件定義書を作成するといった使い方も想定する(図表1)。
図表1 AGENTIC STARの仕組み(SaaS型提供モデル)

こうした作業は、指示を与えればAIエージェントが自律的に進める。さらに、継続的な業務利用を支える機能として「長期記憶」を備える。生成AIの出力品質は、過去のやり取りや業務の文脈をどれだけ反映できるかに左右される。一般的な生成AIでは、記憶は個人とAIの関係に閉じることが多い。これに対しAGENTIC STARでは、個人だけでなく、組織、部署、職種、ロールといった単位で記憶を共有できる。
長期記憶は、ユーザーが物事をどう解釈しているかという「意味づけ」と、どのような手順やロジックで成果物に至ったかという「エピソード」に分けて蓄積する。これにより、特定の担当者だけでなく、組織としての判断軸や仕事の進め方をAIが理解し、文脈に沿った作業を支援する。
外部SaaSとも連携
AIエージェントを実務で活用するには、まず社内データへ安全にアクセスできることが前提になる。AGENTIC STARはMCP/APIを通じて社内データベースと接続でき、閉域接続にも対応する。
そのうえで、既存のSaaSや業務アプリとの連携も広げている。外部サービスと安全につなぐことで、AIエージェントが社内外のデータや機能を横断的に活用できるようにする。
連携先の1つ、ファイル管理・コンテンツ管理サービスのBoxでは、Box上に蓄積された資料、ナレッジ、業務データをAIエージェントが参照し、検索、要約、文書作成、業務対応などに活用できる(図表2)。
図表2 AGENTIC STARとBoxの連携イメージ

BoxはID管理や共有管理の仕組みを備え、保存したコンテンツにメタデータが自動的に付与される。これにより、PDFや各種オフィス系ファイルなどの非構造化データをAIに参照させやすい形にできることが、社内データを扱ううえでの連携先として評価されたという。
ほかにも、デザインツールのCanvaやコード検証プラットフォームのSonarQubeとの連携も進めている。今後、SFA(営業支援システム)・CRM(顧客関係管理)、BI・データ分析、コミュニケーション、プロジェクト管理などの領域にも連携先を広げる考えだ。
AGENTIC STARは複数のLLMを使い分けるマルチLLM構成を採る。業務や用途に応じて適したAIモデルや外部サービスを組み合わせるという設計思想だ。上原氏は「どのLLMやAIサービスが勝つかは変わり続けるため、特定の基盤に固定することはリスクになる」と話す。この設計により、ユーザー企業はAGENTIC STARを介して、その時点で最適なLLMやAIツールを利用できることになる。
ソフトバンクは、AIエージェントを「人間の苦手なことを肩代わりする存在」と捉える。人間が不得意な作業や負担の大きい作業をAIに任せることで、人は得意なことや創造的な業務に集中できる。「AGENTIC STARを通じ、日本企業の生産性を高め、仕事文化を変えていきたい」と上原氏は語った。
[月刊テレコミュニケーション 2026年8月号の記事を再構成]









