価格・サイズ、ポート数、搭載機能まで“必要かつ十分”
1つは、従来機と同等の価格帯であること。2つめは、共用部ボックスに収まるコンパクトな筐体であることだ。物件にもよるが、共用部ボックス内のスペースには制約があり、サイズのコンパクトさは欠かせない条件だったという。

共用部の設備盤にL2スイッチやONU等を設置中の様子
3つめは、汎用的に使える8~10ポート程度のポート数。そして、各戸へのFTTHサービス提供という用途に必要十分な機能を備えていることだ。L3機能やスタック機能といった多機能・高機能な要素は「あっても使わない」。オーバースペックとして不要と判断した。なお、必要な機能としては、VLAN、ACL、帯域制限、部屋間通信を遮断するためのトラフィックセグメンテーション、Telnet/SSH、Web GUI・CLI両対応、QoSによる音声優先制御を挙げる。
製品選定時には当然、他社製品も検討したものの、これらの要件をすべて満たすものは見つからなかったと堀内氏は振り返る。導入時の技術サポートを行ったマクニカは他ベンダーの機器も取り扱っているが、同社 フィネッセ カンパニー 第3統括部 OpenNetworking事業推進部 課長の青木亮平も「他社ベンダーでは同等の価格帯を商用品質で実現するのが難しく、価格面が採用の最大の決め手になった」と補足する。
集合住宅向けという特有の要件――コンパクトさと価格、必要十分な機能のバランス――を満たす選択肢が、実際には限られていたことがうかがえる。
集合住宅向けに「10ポート構成が合っている」理由
今回は、ECSシリーズのエントリー向けモデル「ECS4100-12T」(12ポートのファンレスモデル)を採用した。LANポートを10個備えており、アップリンクに1ポートを使用しても9部屋まで1台で収容できる点も大きな決め手になったという。

愛媛CATVが導入した12ポートモデル「ECS4100-12T」
従来の8ポートモデルでは、アップリンク使用後に7部屋分しかポートを確保できないため、8部屋の物件ではSFPモジュールを追加してポートを増設するか、16ポートモデルを導入するかの二択を迫られていた。「SFPを使うと故障点が増えるし、16ポートのスイッチを使うのはもったいない、という悩みがこれまであった」(堀内氏)。今回、LANポートが10個ある構成を採用したことで、そうした中間的な規模の物件にも柔軟に対応できるようになった。
また、導入にあたっては、マクニカによる伴走支援も大きな役割を果たした。
導入前にECSスイッチに関するハンズオンレクチャーを実施したほか、検証中には、設定通りに動作しない場合の設定レビューやトラブルシューティングの支援、設定上の問題点の特定と解決策の提示といったサポートを行った。堀内氏はこれらについて、「丁寧に調べてご回答いただき、検証を進めるうえで非常に助かった」と高く評価する。
加えて、納品段階でのリードタイムの確認や価格変動情報の提供といった実務面のサポートも受けられたと言い、「検証から発注まで一貫してよいサポートをいただいた」と振り返る。
図表 集合住宅向けFTTHサービス提供の構成イメージ

2025年9月頃にマクニカへ相談した後、ハンズオン研修を受け、社内での動作検証に着手。当初は年度内の導入展開を目指していたが、インターネット接続の動作確認に加え、固定電話サービスの品質を担保するための試験が必要となり、検証には想定よりも時間を要した。実際の導入展開は2026年5月から開始している。初回発注台数は200台で、年間で100~200台程度の使用を見込んでいるという。














