オプテージ 名部社長「日本のデジタルインフラ強靭化へ 関西から全国、海外へ羽ばたく」

関西電力グループの情報通信事業を担うオプテージが、新たな成長ステージへと踏み出す。2035年度までに売上高4300億円を目指す長期戦略目標を今年5月に打ち出し、新設した「曽根崎データセンター」やフルMVNO事業などを軸に、成長領域への投資を加速させる。名部正彦社長は、自社を“グローバルネットワークソリューションカンパニー”と位置づけ、「関西から全国へ、そして海外へと展開を広げていきたい」と意気込む。

量子やAI、Web3にも注力

――昨年3月には、東芝デジタルソリューションズとフォーティネットジャパンの協力のもと、量子鍵配送(QKD)と耐量子計算機暗号(PQC)を組み合わせたDC間通信の実証を実施するなど、量子技術に関する取り組みも積極的に行われています。

名部 特にQKDは、光の粒子に鍵情報を載せて伝送する技術なので、オプテージが光ファイバーを自社で保有していることに加え、自ら敷設できる体制を持っていることが強みになると考えています。その意味では、我々にとって勝ち筋になり得る事業領域だと捉えています。

一方で、市場がどれほどのスピードで立ち上がるのか、どのタイミングでサービスとして展開し、お客様に対価をお支払いいただけるようになるのかは、まだ見極めが難しい状況です。とはいえ、将来的な事業機会を見据え、新たな技術や市場に挑戦していく取り組みとして量子技術を位置付けています。

オプテージ 代表取締役社長 名部正彦氏

――長期戦略目標では、AIやWeb3をはじめとする先端技術を活用した新規事業の創出も、重点施策の1つに掲げています。

名部 AIモデルそのものを開発するのは我々の範疇ではありません。ただ、先ほど触れたDC事業もそうですが、AIを支えるインフラづくりには貢献していきたいと思っています。例えば、コンテナ型DCを2026年度中に福井県美浜町に建設する予定です。

また、複数のGPUを効率的に活用するためには、ミドルウェアが重要な役割を果たすでしょうから、関連企業とPoCを進めながら、事業化の可能性を探っているところです。

Web3については、ブロックチェーンのノード運用を支援していきたいと考えています。ノード運用とは、ブロックチェーンネットワークに参加するサーバー等を安定稼働させ、取引データの検証やソフトウェアのアップデート、セキュリティ管理などを担う業務です。

ノード運用には高度な技術が求められ、運用に失敗した場合にはペナルティが発生するケースもあります。当社では、この分野に対応できる技術者の育成が進んでおり、金融機関などのお客様に代わってノードを運用するサービスを提供できないか検討しています。

また、厳格な承認機能をはじめとする高度なセキュリティ機能を備えたWeb3ウォレットも、導入や運用が複雑で、高い専門性が求められます。こうしたウォレットの設定や導入支援、運用サポートを担う体制も整いつつあります。ユーザー企業が自ら運用するのではなく、当社がその運用を支援・代行するようなビジネスも展開していきたいと考えています。

長期戦略目標で掲げた目標の達成に向けて、今後も幅広い領域に挑戦していきます。我々の強みを発揮できる分野で着実に競争力を高め、事業成長につなげていきたいです。

月刊テレコミュニケーション 2026年7月号の記事を再構成]

名部正彦(なべ・まさひこ)氏

1965年11月生まれ。90年3月に神戸大学大学院 システム工学を修了、同年4月に関西電力入社。2017年6月に同社 IT戦略室長 兼 オプテージ 取締役(非常勤)、20年6月に関西電力 執行役員 IT戦略室長、21年6月より現職

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