オプテージ 名部社長「日本のデジタルインフラ強靭化へ 関西から全国、海外へ羽ばたく」

関西電力グループの情報通信事業を担うオプテージが、新たな成長ステージへと踏み出す。2035年度までに売上高4300億円を目指す長期戦略目標を今年5月に打ち出し、新設した「曽根崎データセンター」やフルMVNO事業などを軸に、成長領域への投資を加速させる。名部正彦社長は、自社を“グローバルネットワークソリューションカンパニー”と位置づけ、「関西から全国へ、そして海外へと展開を広げていきたい」と意気込む。

フルMVNOでIoTの可能性広げる

――mineoは個人・法人含めて140万回線を突破しました。

名部 爆発的に契約者数が増える市場ではありませんが、法人向けも含めて着実にユーザーを獲得できているのは心強いです。その背景には、単に料金が安いだけではなく、これまで他社が手掛けてこなかったサービスを展開してきたことがあると考えています。 その代表例の1つが、通信速度を最大1Mbpsあるいは3Mbpsに抑える代わりにデータ通信が使い放題になる「パケット放題サービス」です。このサービスは多くのお客様から支持を得ており、我々が提供している価値に共感していただいた結果が、ユーザー数の増加につながっているのだと思います。

――今年1月には、au回線を利用したデータ通信・音声通話・SMSに対応した「フルMVNO事業」に参入し、2027年度下期に事業を開始予定です。加入者管理装置(HLR/HSS)や音声交換機などを自社で構築・運用することで、MVNOサービスを柔軟に設計できるようになります。

名部 HLR/HSSや音声交換機のような基盤システムは、薄くすればするほどMNOが提供するサービスに依存することになります。一方で、基盤を厚く構築すれば、MNOに近い自由度を確保できます。

mineoがこれまで競争力を確保してきたのは、お客様の声を聞きながら、「こんなサービスが欲しい」という要望に応えてきたからです。今後も新たなビジネスを展開していくために必要な投資を行い、フルMVNOとして事業を推進していこうと考えました。

――具体的にはどんなサービスを提供していきますか。

名部 検討中ですが、従来とは異なる音声サービスの料金体系を設計したり、データ通信と音声サービスを組み合わせた新たな料金プランを提供できるようになると考えています。

また、フルMVNOによってIoT分野での可能性が大きく広がると期待しています。例えば監視カメラは、SIMを挿入した状態でメーカー等の倉庫に保管され、その後ユーザーのもとへ出荷されるケースがあります。本来であれば、設置後にアクティベーション(有効化)を行い、その時点から課金を開始するのが望ましいのですが、現行の仕組みでは難しく、倉庫に保管された段階から料金が発生してしまうことがあります。

フルMVNOでは、アクティベーションのタイミングを柔軟に制御できるため、こうした課題を解消できます。データ通信の領域からフルMVNOを展開するだけでも、これまでリーチできなかった市場にも参入できるようになり、新たな事業機会の創出につながると考えています。

「通信事業を支える通信事業者」へ

――今年1月には、法人向けのmineo法人を「mineo Biz」に名称変更するなど、mineoの法人ブランドも再定義しました。

名部 これまでもmineoを法人向けに展開してきましたが、オプテージとして法人事業をさらに強化していきたいという意思表示でもあります。極端な話をすると、法人向けに全く新しいブランドを立ち上げるという選択肢もありました。しかし、mineoというブランドに価値があると考え、あえてmineoの名前を残すことにしました。

法人のお客様からは、業務用スマホ回線の一括導入に加え、監視カメラや各種センサー向けのIoT回線として活用したいというニーズも増えていますので、こうした幅広い需要にしっかり応えていきます。

――このmineo Bizにおいて、異業種のモバイル事業参入を支援する「MVNO Operation Kit」を2026年度下期に提供開始されます。その狙いについてお聞かせください。

名部 通信事業に参入するには、多くのノウハウや投資が必要になります。だからこそ、我々がこれまで培ってきた知見を活かし、「通信事業を支える通信事業者」として貢献していきたいという思いがあります。

もちろん、結果として新たなプレーヤーが増えれば、将来的な競合相手となる可能性があり、脅威となることも考えられます。しかし、MVNO Operation Kitは我々にとって新たな事業機会を生み出す取り組みです。多様なサービスの創出を後押しし、MVNO市場の活性化につながると期待しています。

――異業種のMVNO参入を支援するサービスは、すでに様々な事業者が提供しています。どう差別化を図っていきますか。

名部 基本的な機能については、他社と大きく変わらないと思います。ただ、我々が重要だと考えているのは、コンサルティングです。

先ほども申し上げた通り、mineoではこれまでお客様と一緒に新しいサービスを作り上げることを大切にしてきました。MVNO事業に新規参入する企業は、通信業界特有の制度やルールなど、様々な課題に直面してしまうかもしれません。そうした壁を乗り越えていただくためにコンサルティングを提供し、お客様と伴走しながら、ともに事業を成長させていきたいと考えています。

名部正彦(なべ・まさひこ)氏

1965年11月生まれ。90年3月に神戸大学大学院 システム工学を修了、同年4月に関西電力入社。2017年6月に同社 IT戦略室長 兼 オプテージ 取締役(非常勤)、20年6月に関西電力 執行役員 IT戦略室長、21年6月より現職

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