シュナイダーエレクトリックは2026年5月25日、メディアラウンドテーブルを開催し、AIデータセンターに求められるファシリティの技術トレンドを紹介した。
同社 クラウド&サービスプロバイダー事業部 キーアカウントマネージャーの須田拓真氏は、エヌビディアが2026年3月に開催した技術カンファレンス「GTC26」を振り返り、「AIファクトリー」という大きな流れのなかで、データセンターの論点は「データセンターを作る」ことから、「AIをどう収容するか」に移りつつあると説明した。そのうえで、シュナイダーエレクトリックが注力する領域として、ラックの高密度化、冷却方式、デジタル化の3点を挙げた。

シュナイダーエレクトリック クラウド&サービスプロバイダー事業部 キーアカウントマネージャーの須田拓真氏
“1ラック1MW時代”見据え高電圧直流配電へ移行を
1つめであるラックの高密度化の前提には、エヌビディアのGPUサーバーが世代を追うごとにラックあたりの電力密度を高めていることがある。2022年には1ラックあたり25KW級だったが、2025年の「Blackwell」では132KWに達した。今後、2027年には1ラック400kW級、2029年には1MW級に高まる見通しだという。

エヌビディアのGPUサーバーは世代を重ねるごとにラックあたりの電力密度を高めている
チップの性能向上に伴いラックに供給する電力も増えるが、現在の配電設備ではこうした高密度化を受け止めることが難しくなる。例えば1ラック1MW級を既存の交流配電で実装しようとすると、多数の電源ケーブルや電源タップが必要になり、ラック内に物理的に収まらない。
そこで重要になるのが、配電アーキテクチャの見直しだ。須田氏は、今後はラック近傍で交流を直流に変換して供給する「サイドカー」型の装置の活用が進み、さらに将来的には800VDC配電のような高電圧直流配電へ移行が現実的な選択肢になると指摘した。
電圧を高めることで、同じ電力をより小さい電流で送れるため、ケーブルの太さや本数を削減できるほか、変換段数を減らすことによる配電時の損失低減も期待できる。現在、業界ではエヌビディアの提唱する800VDC給電構想を軸に、電力インフラ各社と連携したインフラ構築が加速しており、同社もその実現に向けた検証とソリューション開発を強化している。

高密度化に対応した電源設計の見通し
また、データセンター全体の電源構成も見直しが必要になる。系統電力は交流で供給される一方、太陽光発電や蓄電池など、マイクログリッド側には直流で扱いやすい電源もある。シュナイダーエレクトリックは、将来的に系統電力、再生可能エネルギー、蓄電池、ACラック、DCラックを統合する「共通DCバス」の活用も視野に入れているという。









