<連載>フィジカルAI、産業DXのためのローカル5Gローカル5GはフィジカルAIの基盤に 日本の強みは“人とAIの共存”

AIを産業機械やロボットなどのハードウェアに実装するフィジカルAIへの注目が高まっている。普及を進めるにあたっての課題と、ローカル5Gが果たすべき役割は何か。

L5G×エッジ処理が現実解

フィジカルAIの普及にあたっては、通信ネットワークの役割がこれまで以上に重要になる。「フィジカルAIは人と協調して動作するため、遠隔監視や緊急停止など、即時性が求められる通信が前提になる」(近藤氏)からだ。AIが物理的に動作する環境では、データ処理の遅延が安全性にも直結することから、通信と演算処理を近接させた構成が1つの解になる。つまり、ローカル5Gとエッジコンピューティングの組み合わせに期待がかかる。

これに応えるため、例えばISL Networksでは、AI制御を伴う現場機器のリアルタイム接続性をローカル5Gで検証している。ローカル5GとTSN(Time Sensitive Networking)の統合を進め、機器やセンサーが無線区間を含めて高精度に時刻同期しながら協調動作できる通信基盤の実現を目指している。この「5G-TSN」技術は、様々な産業用イーサネットを無線化するもので、フィジカルAIの安全かつ確実な動作を支える基盤の1つとなるだろう。

日本の強みを活かした開発を

「ロボット向けのAI開発はデータがすべて」。日本総研 先端技術ラボ スペシャリストの伊藤蓮氏はこう言うが、フィジカルAIの開発をさらに加速するには、現実世界の大量データを効率的に収集・共有する仕組みが欠かせない。この観点でも、高速大容量な上り通信に適しているローカル5Gは重要な役割を担える。

日本総合研究所 先端技術ラボ スペシャリスト 伊藤蓮氏

日本総合研究所 先端技術ラボ スペシャリスト 伊藤蓮氏

伊藤氏によれば、「海外では多様なロボットからデータを集約し、共通モデルを構築する取り組みが進んでいるが、日本ではその基盤整備がまだ道半ば」だという。

国内でもAI RoA(AIロボット協会)がデータ共有やモデル開発で協調するための枠組み作りを始めるなど、こうした取り組みはスタートしているが、ロボットのためのデータ蓄積を進めていくための前提条件の1つは、現実世界の大量データをリアルタイムに収集するための通信ネットワーク整備だ。

「人と機械が共存する環境設計や安全管理に、日本の強みはある」と伊藤氏は述べる。製造現場の品質要求の高さ、人と協調して作業を進める文化などは、フィジカルAIの社会実装を支える大切な要素だ。

今後学習データや環境情報の蓄積が進むことで、AIがより複雑な判断を行い、対応できる環境や作業の種類が広がっていくことが予想される(図表2)。その進化の過程で、ローカル5Gをはじめとする通信ネットワークの重要性も高まっていく。

図表2 フィジカルAIによるロボットの進化イメージ

図表2 フィジカルAIによるロボットの進化イメージ

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