Wi-Fiや公衆5Gと異なり、ローカル5Gは導入した事業者がその周波数を占有的に使え、用途も自身で決めることができる。この利点が発揮されやすいのが、スポーツや音楽イベント等の会場だ。Wi-Fiや公衆5Gの場合、集まった多数の観客のトラフィックに多大な影響を受けるが、ローカル5Gであれば業務専用の安定的な無線通信環境が手に入る。
高速大容量の上り通信が可能なのもローカル5Gの特徴であり、当初からスポーツ/イベント中継映像のリアルタイム伝送に活躍してきたが、さらに新たな使い方が次々と始まっている。
“最高のカメラマン”が誕生
一例が、2025年6月に開催されたハンドボールリーグ「リーグH」のプレーオフで活用された“審判カメラ”だ。ソニーワイヤレスコミュニケーションズ(SWC)が提供する法人向けローカル5Gサービス「MOREVE」の「無線映像制作サービス」を活用している。
審判の側頭部にウェアラブルカメラを、背中に5G対応トランスミッター「PDT-FP1」を装着(下画像)。ローカル5G経由でクラウドに映像を伝送し、選手のプレーを間近で捉えた映像をリアルタイム配信した。試合のキーポイントを必ず視界に入れる審判は“最高のカメラマン”だ。その視点から臨場感あふれる映像を視聴者に届けた。

審判の側頭部にウェアラブルカメラを装着

5G対応トランスミッター「PTDFP1」経由で、審判目線の撮影映像をローカル5Gで無線伝送した
SWC 事業部門 事業開発2部 統括部長の木村貴行氏によれば、Wi-Fiや公衆5Gの採用も検討されたが、数千人の観客が集まる試合会場では配信・放送に耐えうる通信品質が担保できなかったという。占有的に使えることがローカル5G採用の決め手となった。

ソニーワイヤレスコミュニケーションズ(SWC) 事業部門事業開発2部 統括部長 木村貴行氏
審判カメラの目的は、配信コンテンツの価値向上だけではない。「審判教育のための映像記録として使えることから、審判団も導入に積極的だった」と木村氏。ベテラン審判がどの場面でどこを見て、どう判断したのかを若手審判に指導するための貴重な資料になっているという。
また、この試合では審判カメラ以外にも、ゴールポストなど人が立ち入れない場所に固定カメラを設置して、ローカル5G経由で複数の映像をリアルタイム伝送した。体育館をSub6基地局1台でカバーし、5台以上のカメラ映像の無線伝送も問題なくこなしている。
こうした活用法は、他のスポーツ競技や音楽イベントなどにも広がっていくことが期待される。











