M2Mイノベーションの時代[第6回]M2Mの課題「相互接続性」の試金石となるか?――ヘルスケア業界で普及するコンティニュア

ヘルスケア機器の世界では、コンティニュア(Continua)という相互接続性を担保するための標準が広がりつつある。相互接続性はM2Mの大きな課題の1つであり、その“試金石”としてもコンティニュアの動向は注目される。

コンティニュア(Continua)という標準をご存じだろうか? 正式名称は「Continua Health Alliance」。ISO 11073標準に基づき、医療機器や健康器具の相互接続性のための実装規約を定める団体および標準名がコンティニュアである。

ユーザの利便性を向上するうえで、相互接続性はいつの時代も非常に重要なテーマだ。しかし、ヘルスケア機器については、かつて明確な業界標準がなかった。それぞれがスタンドアロンで存在してきたため、そもそも相互接続性を考慮する必要性がなかったからである。

だが、M2Mの普及とともに、クラウド上での健康データの蓄積・管理など、ネットワークを利用したヘルスケアサービスが一般的になりつつある。ヘルスケア機器がネットワークにつながる時代、相互接続性は当然のことながら非常に重要だ。

こうした時代を見越し、2006年にインテルの提唱のもと、立ち上がったのがコンティニュアだ。現在の加盟社数は240社以上、認定製品の数はすでに100以上に上る。日本企業もオムロン、シャープ、パナソニック、A&Dなど、多くの企業がメンバーになっており、コンティニュア認定製品を出荷している。最近はスマートフォンもコンティニュア認定製品となっており、スマートフォンとのBluetooth通信を介し、取得した健康データをクラウドに送信することも容易に可能だ。

既存の標準規格を組み合わせたコンティニュア

コンティニュアでは、設計ガイドラインを作成している(図表1)。このガイドラインに沿ったスタックを実装すれば、物理インターフェースや通信手段、計測機器に関わらず、基本的な通信とその相互接続性が保証される。上位のアプリケーションはAPIを利用して自由に開発できるため、ベンダーとしての差別化も可能だ。

図表1 コンティニュアの設計ガイドライン
コンティニュアの設計ガイドライン
出所:コンティニュア・ヘルス・アライアンス(http://www.continua.jp/about/guideline.html

次の図表2はコンティニュアが規定する、インターフェースと標準規格だ。

図表2 コンティニュアで使われているインターフェースと標準規格
コンティニュアで使われているインターフェースと標準規格
出所:コンティニュア・ヘルス・アライアンス(http://www.continua.jp/about/development.html

コンティニュアでは、独自に新たな規格を策定するのではなく、既存の標準規格を組み合わせるというアプローチを基本的にとっている。端末側のインターフェースとしてUSBとZigBee、Bluetoothを規定するなど、すでに普及している標準規格を利用することで相互接続性を担保し、迅速な機器開発やサービス展開を目指しているのだ。ちなみに、今のところNFCはコンティニュアではサポートされていない。

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