日本市場の注力点、第1は「東京-福岡間の拡張」
日本市場における注力エリアとしては、アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏が次の3つを挙げた。

アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏
1つが、ハイパースケーラーの需要に応えるためのネットワーク増強だ。「データセンター間接続と、陸揚局向けの接続、その先の長距離ネットワークも含めて、クラウドやAI、DXプラットフォームに関するビジネスがここ3年、急速に伸びている」と同氏。この領域の売上は、年平均で27%の成長を記録しているという。
この旺盛な需要に、東京-大阪間の新ルートの開発、大阪から福岡に至る西日本ネットワークの拡張で応える。

西日本ネットワークの拡張
東京-大阪間は現在2経路のネットワークがあるが、ここに新幹線経由で接続する第3のルートを開発中という。また、大阪から広島、岡山、山口、福岡とつなぐ西日本ネットワークを拡張しており、2026年1月から販売を開始できる見通しだ。すでに引き合いもあり、販売開始とともに「データセンター間接続への回線提供で動き出せる」とのこと。
「日本企業が世界に出ていく土台ができた」
2つめの注目エリアはエンタープライズネットワークだ。
従来はユーザーである企業の本社と支社、本社とデータセンター/クラウドをつなぐシンプルな構成が多かったが、「最近はかなり複雑化してきている」と水谷氏。マルチクラウド接続が当たり前になったほか、ローカルブレイクアウトやリモート接続が増加したことで、ゼロトラストセキュリティを導入したり、SD-WANやNaaSで帯域や拠点するを柔軟に変更できるネットワークを構築するケースが増えているという。

複雑化するエンタープライズ・ネットワーク
Coltの強みは、こうしたセキュリティ機能、SD-WANやNaaSを含めたマネージドサービスを、グローバルに提供できる点にある。
海外に進出する日本企業は、従来はネットワークもセキュリティも各国の通信事業者と個別に契約する形態が多かったが、「最近では、本社ですべてをマネージしたいと考える企業が増えてきた」。Coltは他のグローバルキャリアと異なり、日本に本社機能のすべてを備えている点が特徴であり、「日本語で、日本の商習慣に合ったかたちでネットワークサービスが使えて、セキュリティも統一できる」ことが顧客企業からの支持につながっていると水谷氏は話した。
こうした海外進出企業へのビジネスをより拡大するためにColtが注力しているのが、NTT東日本/西日本との協業だ。Coltのイーサネット接続サービス「Colt Ethernet」のアクセス回線として、NTT東西の「Interconnected WAN」を活用。Coltがエンド・ツー・エンド監視による保守運用、サービス品質保証を提供する。

NTT東西との協業
ユーザーは、NTT東西のアクセス回線を使ってColtのグローバルネットワークへ接続できる。2026年1月から日本全国でサービス提供を開始。水谷氏は「日本全国の企業が海外に出ていく際に、Colt経由で世界に出ていく。その土台ができた」と述べ、初年度で100を超える企業が同サービスを利用するとの見通しを示した。
最後に、3つめの注力エリアとして挙げたのは金融マーケット向けのサービスだ。
Coltは「金融事業に精通している」ことも強みであり、世界中の取引所のマーケット・データフィードをネットワークとセットで提供している。その数は80以上という。
この領域では、12月9日に韓国初の代替取引システムであるNextradeとのマーケット・データ提供契約を締結したことを発表した。Coltの低遅延ネットワークも活用することで、香港やシンガポールの投資家に、韓国市場への柔軟かつ効率のよいアクセスを提供する。













