不要データを排除しコスト最適化する「Pipeline Control」
2つめの新機能が「Pipeline Control」だ。New Relicによるオブザーバビリティ導入が進む中で、ユーザー環境からプラットフォーム側へのデータ転送量の増大が課題となっていた。
Pipeline Controlでは、送信元であるユーザー側と受信先であるNew Relic側の双方で、不要なデータを排除したり、分析に適した形式に加工することができる。これにより、転送量を削減しつつデータの質を高め、コスト効率の改善を図る。
「Pipeline Control」の機能概要
部門を横断しコスト状況共有 ダッシュボードは“共通言語”
発表会には、AI OCRソリューション「DX Suite」を提供するAI insideのVPoE 三谷辰秋氏が登壇し、New Relicを活用したFinOpsの実践について紹介した。
AI inside VPoE 三谷辰秋氏
同社ではアプリケーション層とインフラ層のすべてをNew Relicで観測。結果として、クラウドリソースの効率を48%向上させ、主要APIのレスポンスを51%高速化。ユーザー体感速度は2倍となり、解約率は過去最低の0.57%を記録した。
AI insideでは、こうしたFinOps実践を機能リリース前から手動で行っており、三谷氏は「手動で作っていたものを機能化してもらえるのは助かる」と述べた。特に、Kubernetes対応による複雑なシステムのリアルタイム分析には大きな期待を寄せている。
三谷氏はまた、FinOps実践を通じ、経営と開発が同じ指標で議論することが顧客価値を最大化することにつながると語った。両機能による分析結果はNew Relicのダッシュボードで一覧でき、部門を越えたコスト状況の共有を促進する。
CCIのダッシュボード例。画面上部には「Network」、「Compute」、「Storage」、「Databases」の4領域ごとのコストが表示されている
清水氏も、財務・経理部門からエンジニアに対し「コストを削減せよ」といった要請がある現状に触れ、「金額だけで話が進み、コンテクストが無視される」と指摘。CCIのダッシュボードは、そうした現状を改善する“共通言語”として機能すると述べた。
CCIは2025年6月18日から限定プレビューとして提供され、Pipeline Controlは一般提供が開始された。いずれも利用には別途契約が必要となる。
“オブザーバビリティ初”の日本円決済対応も発表
New Relic 執行役員 技術統括 兼 CTOの松本大樹氏
さらにNew Relicは、AWS Marketplaceにおいて、オブザーバビリティ製品として初めて日本円での取引に対応したことも発表した。New Relic 執行役員 技術統括 兼 CTOの松本大樹氏は「調達・予算調整のFinOpsを手伝える連携」と、その意義を語った。