古河電工とノキアが次世代光アクセスで提携、Beyond 25G PONを国内展開

光ファイバー製造・販売で世界トップクラスのシェアを持つ古河電気工業(古河電工)と、光アクセス設備のOLTで世界シェアトップのノキアは2025年6月2日、日本国内におけるPON(Passive Optical Network)製品の販売提携を開始すると発表した。両社は2022年に南米で同様の協業を開始。その取り組みを東南アジア、欧州、北米、そして日本へと広げる。2025年度中に、25G PON製品の国内展開を始める計画だ。

25G PONが開拓する光アクセスの新ユースケース

実は、XGS-PON(10G)の次世代規格としては、2010年代末に50G PONの開発がスタートし、国際標準化が進められた。それと並行して、ノキアら製品ベンダーは業界団体を設立して25G PONをデファクトスタンダードとして規格化。国際標準化の“本筋”が50G PONであることは確かだが、その前段階として、25G PONで光アクセスネットワークを早期に広帯域化し、ユースケースを拡大しようとする動きが出てきている。

PON規格の変遷

PON規格の変遷

この動きを後押しするため、ノキアはXGS PONや25G PON、そして50G PONを同一プラットフォームで展開できる製品群を展開。PONのマイグレーションを容易にすることで、世界各地で25G PONの事例が次々と出てきているとヘンドリー氏は話した。

ノキアの固定アクセスネットワーク製品の概要

ノキアの固定アクセスネットワーク製品の概要

1つが、米国の一部の州でグーグルが実験的に展開する光アクセスサービス、Google Fiberだ。25G PONに加えて、2024年には既設の光ファイバーネットワークを利用して50G PONのテストにも成功している。

もう1つは、ニュージーランドの通信事業者であるChorus。農家や製造業向けに映像分析AIと組み合わせたソリューションを提供している。

「さくらんぼ農家が収穫時期に、4KのAIカメラを使って自動的に仕分けをするのに25G PONを使っている」とヘンドリー氏。複数台の4Kカメラで撮影した高精細映像をAIが分析し、品質によってさくらんぼを仕分けするのに当たって、25Gの広帯域な光アクセス網を活用している。また、製造業でも、8台のHDカメラの映像を使って製品の品質チェックを行っている例があるという。

3つめの例は、米国テネシー州のチャタヌーガ市だ。25G PONによる高性能・高品質な光ファイバーを市中に展開。「市民はもちろん、チャタヌーガの中小企業もデジタル化を進めるに当たって、その恩恵を享受している」(同氏)。

両社は、光アクセス網の高度化によってB2B領域でのユースケースを広げるこうした展開を日本国内でも進めていきたい考え。通信事業者のみならず、エンタープライズ市場の開拓にも注力する。

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