コストはオール光に軍配 一度配線すれば30年交換不要
ファーウェイのオール光ネットワークを採用した「オール光ホテル」が増えている理由は大きく3つに整理できる。
まずは初期コストだ。光ファイバーはLANケーブルより安価で、配線コストを約2割削減できる。機器コストを含めたトータルでも「オール光に軍配は上がります」と馮氏は強調する。世界中の大手キャリアと提携し、光ネットワーク機器の出荷量が年間千万台レベル、光アクセス市場で36%の世界シェアを持つファーウェイは、そのコスト競争力の高さを武器に、光AP等の機器をリーズナブルに提供できるからだ。
WDM(波長多重伝送)と組み合わせることで、テレビ放送などのデータ通信以外のサービスを1本の光ファイバーに重畳させ、システム全体を簡素化することもできる。
2つめは、最初だけではなく、将来にわたって投資効果が高いことだ。LANケーブルは、速度向上を図るのに、ケーブルの配線し直しが必要になる(図表2)。
図表2 LANケーブルと光ファイバーの比較
一方、光ファイバーはそもそも物理的な伝送性能が高く、次世代通信技術が登場しても交換は不要。また、腐食しにくく、その寿命は30年と非常に長い。つまり、「配線工事は1回だけ。その後は機器交換だけで済みます」(馮氏)。
このメリットを決め手の1つに、ファーウェイのオール光ネットワークを採用したのがドバイの5つ星ラグジュアリーホテルだ。「宿泊客はお金持ちで、常に最先端の技術を求めますが、従来型のLANはケーブルの再配線工事に1~2カ月必要。工事中の客室は営業できず、多大な損失が出ます。しかし、オール光なら配線工事不要のため、機器交換するだけで最短1日で工事が終わります」と馮氏は話す。
ファーウェイがホテル向けに提供しているOLTは全機種がG-PONに対応し、光ファイバー1本で下り2.5Gbps、上り1.25Gbpsの通信が可能。一部機種は下り/上り10GbpsのXGS-PONにも対応する。将来、50Gbpsの50GPON対応機種も投入されることになろうが、その際もOLTと光APの交換だけで50GPONに対応できる。
さらにオール光は消費電力が低く、システム構成もシンプルで機器数が少ないため、電力コストの削減やカーボンニュートラルにも貢献する。
透明光ファイバーで美観損ねず あらゆるLANをオール光に
3つめは、様々な環境への対応能力の高さだ。光ファイバーはLANケーブルより細く、配線スペースを有効活用できる。重量もLANケーブルの2割ほどで、建物への負荷が軽い。
LANケーブルの最大通信距離が100mであるのに対し、ファーウェイのオール光ネットワークは40kmもあることも重要だ。
イギリスのリゾート施設会社は、湖畔に散在するコテージを結ぶネットワークに採用した。「中継装置が不要な点が高く評価されました」(馮氏)。光ファイバーは塩害に強く、海沿いの施設での採用も増えているという。
配線スペースのない古い建物など、配線を露出せざるを得ない環境でも、美観を損ねずに配線できる透明光ファイバーにも注目したい。ファーウェイの透明光ファイバーは、プロテクターなしでLANケーブル並みの強度があり、美観を保ちながら露出配線が行える。
ファーウェイがホテル業界に注力するのは、「ホテルのお客様からオール光でネットワークを組みたいという要望を多くいただくからです」と曾小虎氏は説明する。背景には「高品質なネットワークサービスをメンテナンスフリーで提供したい」「配線を一度行ったら、営業に影響を与える更新工事なしに、できるだけ長く使いたい」といった強いニーズがあるという。
「そこでホテルから展開していますが、その後は段階的にオール光オフィス、オール光スクール、オール光メディカルといった形で裾野を広げていきたいと考えています」と曾氏は言う。ホテル業界のみならず、様々な業界に貢献できるからだ。
ホテルから始まったLANの新潮流。ファーウェイのソリューションと共に、今後あらゆる領域でオール光化が進展することになりそうだ。
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