OKI、オープンラボイベントを初開催 “タフネス”でデータの価値を最大化

OKIのコアは“タフネス”――。通信、金融、交通など、数々の社会インフラを支えているOKIが技術開発拠点を公開した。最先端の技術研究から見えてきたのは、エッジから得られるデータをいかにして利用し、社会実装していくかというアプローチの豊かさだ。

OKIは2024年2月21日、技術開発拠点であるOKI蕨システムセンターを報道陣やサプライヤー等に向けて公開するイベント「OKI OPEN LAB 2024」を開催した。このようなオープンラボイベントは初めての試みとなる。

OKI 代表取締役社長の森孝廣氏(左)と、 執行役員 技術責任者 兼 技術本部長の前野蔵人氏

OKI 代表取締役社長の森孝廣氏(左)と、 執行役員 技術責任者 兼 技術本部長の前野蔵人氏

イベントの冒頭で、OKI 代表取締役社長の森孝廣氏があいさつを行った。「OKIは技術の会社。技術が競争や経営の源泉になるので、(展示や説明から)将来性を図ってほしい」と参加者に呼びかけた。

続いて同社 執行役員 技術責任者 兼 技術本部長の前野蔵人氏が、技術戦略と同イベントの概要を説明した。「OKIのコアコンピタンスは“タフネス”。単純に壊れないだけではなく、バリューチェーンそのものを支える価値観」と述べ、信頼性の高いシステムを提供していることを誇った。

それを具体化する技術コンセプトが「エッジプラットフォーム」だ。OKIが培ってきた多様なエッジデバイスのコンポーネントを共通化し、強化していく。そのエッジが生むデータを蓄積し横断的に活用することで、データの価値を拡大し、顧客の課題解決をスピーディーに行っていくというものだ。

エッジプラットフォームの技術的なポイントとしては「AI」「データマネジメント」「エッジデバイス」の3つを挙げることができる。OKIが社会インフラで培った「止まらない/止めない」技術を社会実装していく取り組みの数々が、この3つの観点から紹介された。

社会インフラの情報をAIで解析

1つめのAIでは、アナログ信号をAIで処理する技術として、光ファイバーを用いたインフラ維持管理の技術が紹介された。橋梁やトンネルなどの社会インフラに光ファイバーを敷設し、インフラ監視を省人化・自動化する試みだ。光ファイバーは極めて微少なひずみを捉えることができるため、インフラに生じる初期の変化を検出できるという。インフラの約6割の老朽化が顕著となると言われる2030年を目標に、現実的で安定した価格での計測装置の提供を目指すとしている。

光ファイバーによるひずみ検知のデモ。説明員がつまんだ箇所がひずみとして検出され画面上のグラフに図示されている

光ファイバーによるひずみ検知のデモ。説明員がつまんだ箇所がひずみとして検出され画面上のグラフに図示されている

また、最先端の「視るAI」技術を課題解決に利用する取り組みでは、現場の作業工程改善と道路の異状領域検出が例に挙げられていた。前者では、作業者の骨格の動きや運動量などをAIが捉え、行動の良否判定を行う。これにより、製品の検査工程よりも前の段階で作業品質を向上させることが可能になる。後者では、道路の白線の劣化状況をAIで検知するデモが展示された。車載カメラが捉えた映像をエッジ端末で分析し、位置情報と組み合わせることで広範囲にわたる道路の補修計画作成を支援しようとするものだ。

道路の白線の劣化状況をAIで検知するデモ。画面上の「5%」や「7%」が劣化の程度を表す

道路の白線の劣化状況をAIで検知するデモ。画面上の「5%」や「7%」が劣化の程度を表す

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