国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)と京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)は2023年10月25日、北海道 石狩市緑苑台東地区の一部エリアの車道で、1人のオペレーターが複数台の自動配送ロボットを遠隔監視・操作しながら配送サービスを行う実証実験を開始したと発表した。
複数台遠隔監視の様子
これは、NEDOの「革新的ロボット研究開発基盤構築事業/自動配送ロボットによる配送サービスの実現」の一環として行われるもので、本実証実験は、車道を同時走行する複数台の中速・中型自動配送ロボットを、1人のオペレーターが遠隔監視・操作するものとして国内初の事例となる。
車道を走行する自動配送ロボット
実証では、本事業で新たに開発した以下の項目について実用性の確認を行う。
・複数台の運用が可能な遠隔型自動運転システムの開発
KCCSは、1人のオペレーターが複数台の自動配送ロボットを運用するにあたり、ロボットの自律走行の開始/停止を行う専用のコントローラーや全体を監視できる表示システムを開発した。KCCSの遠隔監視室は、ロボットに搭載しているカメラからの映像や位置情報、センサー情報などを一目で把握でき、オペレーターは表示システムを利用して走行中の全ロボットの状況を確認できる。
・自律走行比率の向上
自動配送ロボットがオペレーターの遠隔操作なしで継続的な自律走行を行うため、交差点の横断や駐車車両の回避を自動で行う技術を開発した。
・安全な運行管理体制の構築
走行するルートやスケジュールを状況に応じて変更できる運行管理システムを開発。地図上で複数台の自動配送ロボットの位置を表示しながらリアルタイムに監視・運用できる 。また、運送事業者が、自動運転車を活用する検討会の内容を参考に、有資格者が運行管理・指示を行う運用体制を構築した。
走行予定エリア
NEDOとKCCSは本事業で、同時に複数台の自動配送ロボットを監視できるシステムの機能拡張や、自律走行比率の向上、安心・安全を示すエビデンスの収集を行い、自動配送ロボットの社会実装を目指すという。