KDDIは2023年9月13日、同年8月6日から開催された第105回全国高校野球選手権記念大会において、5G SA商用ネットワークでSLA保証型ネットワークスライシング機能を活用した野球中継番組制作の実証試験に成功したと発表した。朝日放送テレビ、ソニー、ソニーマーケティングとともに行ったもので、本実証で伝送した映像は、地上波放送とBS4K放送、バーチャル高校野球での中継に使用された。
本実証ではソニー提供の低遅延トランスミッターの試作機、5G対応スマートフォン、カメラを組み合わせ、5G SA商用ネットワークでカメラ本線とリターン信号のライブ映像伝送とカメラ制御を実施した。
本実証の構成
野球中継用カメラの映像を5G SAで朝日放送テレビ本社に伝送し、番組制作に活用。上り・下りのSLA保証型ネットワークスライシングにより、観客などが利用する一般のスマートフォンのネットワークと論理的に分離し、各映像中継に必要な通信品質を確保した。
これにより、高品質で低遅延かつ安定した本線カメラの上り伝送と、カメラマンにとって十分な品質の低遅延なリターン映像の下り伝送の同時実施が可能となり、有線カメラと混在して使用しても遜色のない映像伝送を確認できたという。
混雑したスタジアムかつ機器の異常が起きやすい真夏の暑い環境においても、低遅延で安定した映像音声伝送が可能であることを確認。本実証の構成により、ケーブル取り回しが不要でコンパクトな構成ながらも高品質な映像・音声伝送を実現できるため、映像制作の幅が広がることが期待できるとしている。