広がるマルチホップ無線のユースケース IoT用途から映像伝送にも

複数の子機を介して通信するマルチホップ無線は、長距離通信を必要とする屋外や、見通しの悪い工場や建設現場などでのセンシングデータ伝送などで主に用いられてきた。最近の新たな展開を紹介する。

広範囲な自営網を効率よく構築したいというニーズに応えるのが、隣接するノード同士で無線通信を行い、バケツリレー方式でデータを中継するマルチホップ無線だ。

マルチホップ無線は低出力でも長距離を通信できることが大きな利点のため、免許不要の920MHz帯を使用するものが多い。また、Wi-Fiのバックホールにマルチホップ技術を応用し、LANケーブルを無線化するというソリューションもある(図表1)。

図表1 マルチホップ無線ソリューションの例

図表1 マルチホップ無線ソリューションの例

OKIの「SmartHop」は前者の一例。マルチホップ無線通信で、1ホップ間は見通しで1.5kmの長距離通信が可能だ。製造現場やメガソーラーなど、多くの運用実績がある。

その特徴の1つが高信頼性だ。SmartHopは通信品質に合わせ動的に経路を変更する機能を備えるため、ある経路に障害が発生しても自動的に迂回路でデータ送受信を継続し、障害物の多い環境でも確実に通信を確立させられる。出力は20mW、平均の通信速度は10kbpsだが、高利得のアンテナとノイズ軽減フィルターが屋外での長距離通信を可能にしている。

また、ネットワーク構築時に必要な電波伝搬調査は、無償で公開している電波測定ツールで行えるため、測定器が不要なことも特色だ。

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