NTTアグリテクノロジー、収量最大化と環境負荷低減を両立するパプリカ用ハウスを建設

NTTアグリテクノロジーは1月23日、パプリカを生産するTedy(茨城県水戸市)から受注した統合環境制御型グリーンハウスを設計・建設し、竣工したと発表した。このグリーンハウスは骨材の少ないガラス屋根、効率的な暖房・灌水設備、室内の自動制御を可能とするセンサーなどの機構を備え、収量最大化と環境負荷低減を両立するという。生産量は一般的なパイプハウスとの比較で約4倍を実現するとしている。

グリーンハウス全景

グリーンハウス全景

Tedyは輸入率が約85%と高いパプリカの国内生産に20年以上前から取り組んでいる企業。国産パプリカの普及推進を図る中、さらなる増産と環境配慮型農業の実現に向けて統合環境型グリーンハウスの導入に至った。NTTアグリテクノロジーはTedyに対し、収量最大化、高品質化、省力化、環境配慮といった社会的要請に応えるグリーンハウスの設計・建設を行い、必要な技術やノウハウを提供した(参考記事:NTT東・アグリテクノロジー、ローカル5G活用の遠隔農作業デモ公開 2023年度内の商用化を目指す)。

グリーンハウスは18720m2(1.8ヘクタール)の面積をもつ、太陽光利用型の鉄骨ガラスハウス。光の透過率が高く、かつ骨材を減らすことのできる大きなガラスを屋根の被覆材に利用することで、植物に太陽が当たりやすい構造としたという。暖房には500m3の蓄熱タンクを用いた温湯加温方式を採用。このタンクに貯めた湯を夜間に利用することでボイラー稼動時間を削減し、効率化を図る。また、栽培の際の灌水に使用した水は再利用することで環境負荷の低減につなげるという。

グリーンハウス内 栽培エリア

グリーンハウス内 栽培エリア

グリーンハウスには温度・湿度・日射量などの環境センサーを設置し、それらの情報をベースに、天窓、カーテン、循環扇、暖房、灌水などの設備を、1つの制御機器で自動コントロールするとともに、データ駆動型農業の実現を目指す。従来のTedyの温室の制御システムは人手による補完が必要だったが、今回導入したシステムは複合的な環境因子をセンシングし、自動制御に加えて、天気予報や生育ステージに合わせた先を予測した設定や制御を可能にしたという。

さらに、センサー・映像判別による重量・形状選果設備も整備している。これらの機能により、広い栽培面積でも均一で安定的な生育・生産を実現するとしている。Tedyのパプリカ総生産量は年間500t超を見込み、パプリカ農家として日本最大級の生産規模となるという。

この建設に当たっては、施設園芸が盛んなオランダのグリーンハウスメーカーであるBOM Groupと協力。BOM Group CEOのマイク・ヴァーメイ氏は、「日本の地域の野菜生産を支える高機能なグリーンハウスの普及と展開を担う役割をNTTアグリテクノロジーとのパートナーシップで実現させていきたい」と、今後の拡大に期待を寄せている。

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