ウィジェットでより使いやすく
かつて、独居老人の見守りを目的として、センサーと通信機器を活用して遠隔地の家族に安否を自動通報するソリューションなどが登場した。だが、自動化を前提としたものは“冷たい”として使われない。
「コミュニケーションをベースにした仕組みであれば、見守られる側も、サポーターに生活の知恵を伝授することで『役に立つ』ことができる。この循環を作りたい」というのが、泉氏の狙いだ。
このコミュニケーションをさらに簡便にするために作ったシステムが、2つ目のキーポイントだ。GALAXY TabのUIばかりに頼るのではなく、サポーターも高齢者も使いやすいメッセージ交換の仕組みを作った。
それが下の画面だ。メッセージが届くと、待ち受け画面のウィジェットがそれを知らせる。タップするだけでメッセージが開く。
「きづな」プロジェクトのために開発したウィジェット「まもる君」。メッセージが届くと犬のキャラクターがそれを教える(左)。タッチするとメッセージが開き、受け取った高齢者は選択肢を選んで送信ボタンを押すだけで返答できる |
だが、高齢者にいきなり、返答メールを送信してくださいと頼んでも無理だ。だから、サポーターからは選択肢付きのメッセージを送り、それを選ぶだけで返答できるようにした。
画面を見ると、サポーターの側が難しい操作でメッセージを作っているようにも見えるが、そうではない。
サポーターはテキストメールを送っているだけだ。選択肢にしたい部分の前に「◯」を付ける――写真の例では「◯おいしく三食たべた」などと入力する――だけで、システム側がそれを自動的にチェックボックス付きの選択肢に変換して送信する。
こうした簡便なやり取りを入口に、GALAXY Tabを使ったコミュニケーションと、その操作に慣れてもらう。ガラケーと比べて、アプリやウィジェットが作りやすいAndroidプラットフォームの利点がここで生きている。利用者が関心を深め、もっと使いこなせるようになれば、例えばテレビ電話等の活用も十分に可能となろう。