企業ネットワーク最前線

コンテナで進化するNFV 5G網は“クラウドネイティブ”に作る

文◎坪田弘樹(編集部) 2019.11.29

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

コンテナやマイクロサービス等の“クラウドネイティブ”技術の導入により、ネットワーク機能の仮想化が新たな段階に突入する。まずターゲットとなっているのは、今まさに構築が始まった5Gネットワークだ。

ネットワーク機能を仮想化し、汎用サーバーの仮想基盤上にソフトウェアとして実装するNFV(Network Functions Virtualization)が登場してから7年ほどの月日が流れた。

この間、NFVは着実に浸透し、ネットワークの作り方は大きく変化した。ハードウェアとソフトウェアの分離が進み、ネットワーク構成の自由度と柔軟性が向上。マルチベンダー化とオープン化も進展した。

だが、進化はこれで終わりではない。NFVがもたらした柔軟性や拡張性といった効能をさらに高めようとする新たな潮流が生まれてきている。クラウドネイティブだ。

仮想マシンからコンテナへ「クラウドネイティブ」は、アプリケーションの開発手法として昨今注目されている考え方だ。様々な定義がなされているが、一般的には、クラウド環境に最適化されたシステムやサービス、およびそれを実現するための手法を指す。核となる技術要素は、コンテナやマイクロサービスだ。

GoogleやAWSに代表される大手プラットフォーマーでは、これらの技術を用いて開発されたクラウドネイティブ・アプリケーションが主流となっている。コンテナ技術による小型サービスの集合体としてアプリケーションを実現することで、小型サービス毎に開発・機能追加を行い、アプリケーションの開発・展開のサイクルを迅速化できる。

また、コンテナは、OSまで含めてカプセル化する仮想マシン(VM)と異なり軽量なため、起動時間が短く、リソース消費の効率がよいなどの様々なメリットがある。

このクラウドネイティブな技術をネットワークの世界に持ち込む動きが始まった。

起点となったのが、2018年9月にLinux Foundationが行った発表だ。400社超が参加するオープンソース推進団体CNCF(Cloud Native Computing Foundation)とLFNetworkingが、NFVによる仮想ネットワーク機能であるVNF(Virtual Network Function)から、CNF(Cloud native Network Function)への移行を促進する方針を打ち出した。世界各国の通信事業者等が参画してNFVを推進するLF Networking内のプロジェクト「ONAP」と、CNCF傘下のKubernetesプロジェクトが、VNFからCNFへの進化に向けて協業。CNFは、5Gネットワークにおける中核技術の1つになると期待されている。

VNFの進化形「CNF」で5GコアもRANもコンテナ化CNFは、オープンソースのコンテナオーケストレーションシステム「Kubernetes」上で動作するネットワーク機能だ。VNFをコンテナ化した“Container Network Function”とも言い換えられよう。従来のVNFがVMをベースとしたのに対し、CNFはコンテナをベースとする。

このクラウドネイティブ技術を活用して、5Gのコアネットワークや仮想RAN(Virtual Radio AccessNetwork:vRAN)、MEC(Multi Access Edge Computing)向けソリューションの開発を進めているのが、シスコシステムズやレッドハットだ。

シスコの業務執行役員で情報通信産業事業統括 システムズエンジニアリング本部長を務める吉田宏樹氏は「キャリアネットワークにおいてNFVは着実に進んできた。次の段階として今、5G Core(5GC)をコンテナベースで開発している」と語る。
(中央)シスコシステムズ 業務執行役員 情報通信産業事業統括 システムズエンジニアリング本部・本部長の吉田宏樹氏、(左)情報通信産業事業統括本部 ビジネス開発事業本部 ビジネスデベロップメントマネージャーの桂田祥吾氏、(右)米シスコシステムズのモバイルコアBU-CTO Principal 5G Architectのアネアス・ドッドノーブル氏
(中央)シスコシステムズ 業務執行役員 情報通信産業事業統括 システムズエンジニアリング本部・本部長の吉田宏樹氏、(左)情報通信産業事業統括本部 ビジネス開発事業本部 ビジネスデベロップメントマネージャーの桂田祥吾氏、(右)米シスコシステムズのモバイルコアBU-CTO Principal 5G Architectのアネアス・ドッドノーブル氏


5GCでは、コントロールプレーンとユーザープレーンを分離するモデル「CUPS」(Control and User Plane Separation)が採用される。LTE時代には一体化していたコントロールプレーンとユーザープレーンを分離することで、それぞれ別個に開発や機能進化が可能になり、さらにネットワークの構成と機能配備も柔軟に行えるようになるためだ。例えば、コントロールプレーンはコア側に集中させて、ユーザープレーン機能(UPF)をエンドユーザーに近いエッジに配置したり、制御処理の要求が急増した場合にコントロールプレーンだけをスケールさせたりといった具合だ。

このうち、「コントロールプレーンは基本的にコンテナ化する」と吉田氏は明かす。一方、UPFには高い転送能力が求められるため、当面は従来のVNFを用いるという。VNFでは、カーネルをバイパスして直接ハードウェアを制御するDPDKや、FPGAやスマートNIC(Network InterfaceCard)といった専用ハードウェアへのフォワーディング処理のオフロードと、パケット転送処理の高速化手法がすでに確立している。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

zscaler1911
paloalto1911
yamato1911

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】ネットワーク未来予想図2020
[Part1]3段階で進化する5G [Part2]ローカル5G急発進の可能性 [Part3]Wi-Fi 6の普及はハイペース [Part4]「飛び過ぎない」Li-Fiで通信 [Part5]LPWAは大規模導入期に [Part6]ドローンの携帯電波利用が解禁 [Part7]高まる有線IoTの存在感 [Part8]量子時代は暗号通信も進化

[インタビュー] NTT 取締役 研究企画部門長 川添雄彦氏「インターネットを超えるIOWN」 [ソリューション特集]学校ネットワーク/クラウド閉域接続 [ビジネス最前線]NTTコム、ローカル5G参入の狙い ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

住友商事マシネックスついにオラクルがSD-WANに参入!
 クラウド接続に最適な高品質NW

Oracle Failsafe SD-WANは、ネットワーク品質を劇的に変化させる。

APRESIA Systemsローカル5G参入を強力サポート

APRESIA Systemsの「ローカル5Gシステム」はローカル5Gに必要な機能に絞り込み、導入を強力サポート

NECプラットフォームズ教育用ネットワークをトータル提案
IPv6活用でコスト削減・高速化

快適な校内無線LANには、VPNなど校外NWの整備も必要だ!

アット東京AWSやGCPなどメガクラウドに
直結する新時代のデータセンター

アット東京のデータセンターは“つなぐ”価値に磨きをかける!

ヤマハ仮想NWを始めるならヤマハで!

ヤマハの仮想ルーター「vRX」なら、これまでのノウハウをクラウドでも活かせる。

日本ソルテック学校ネットワークを簡単・安価に

日本ソルテックのクラウド管理型無線LANは、専門学校、介護施設を中心に豊富な導入実績!

シスコシステムズ世界で選ばれているオンライン会議
簡単にワンクリックで会議に参加!

Cisco Webexは社内外、誰とでも高品質なオンライン会議が行える。

エイチ・シー・ネットワークス株式会社ネットワークに迫る人手不足の危機
遠隔監視と予防保全で乗り越えろ!

光ファイバの保守現場の深刻な技術者不足。日立金属はどう対応した?

ハイ・アベイラビリティ・システムズ「全て」を一括認証できるSSO
簡単導入でパスワード管理から解放

AccessMatrix USOなら導入や運用も容易にシングルサインオンを実現!

ジェムアルト株式会社マルチクラウド時代の情シスを救う
認証プラットフォーム!

認証・特権ID管理をきめ細やかに! 自社サービスとしても展開可能。

ZscalerDX加速させるクラウドセキュリティ
「100ms以下」の遅延で快適利用

Zscalerの革新的アーキテクチャで働き方改革を強力推進!

パロアルトネットワークスパブリッククラウド基盤の
セキュリティ対策はどうする?

開発のライフサイクル全体でリソースを保護する「Prisma Cloud」

ヤマトロジスティクスキャッシュレス化に乗り遅れるな!
決済端末の導入・運用を一括代行

キャッシュレス決済の導入をヤマトロジスティクスがトータル支援!

アクセスランキング

dwpreport
kaden

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2019 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます