「コネクテッドカー戦略」をドコモ、KDDI、ソフトバンクに聞いた

コネクテッドカーの普及に伴い、従来は“回線提供”に留まっていた通信事業者のクルマ向けビジネスは大きく変わる。期待されているのは、世界で戦う日本の自動車産業をパートナーとして下支えする役割だ。

通信事業者はこれまでも、自動車メーカーが運営するテレマティクスサービス向けに、車載機に組み込む通信モジュールとネットワークを提供してきた。日本におけるその歴史は古く、トヨタ自動車にはKDDI、日産自動車にはNTTドコモ、本田技研工業にはソフトバンクが通信サービスを提供してきている。

以前は、日本国内での回線提供が通信事業者のビジネスの主軸だったが、今や自動車メーカーからは、日本における通信サービスと同等品質のコネクティビティを世界中で提供できる、グローバルプラットフォームの構築を求められている。

自動車メーカーのグローバル戦略においてコネクテッドカーの重要度が高まるのに伴い、通信事業者の役割も変わってきているのだ。KDDI グローバルテレマティクス部長の中村武氏は「テレマティクスについては正直、日本よりも世界を見ている。国策として日本のクルマ産業が世界に打って出るための地ならしをするのが我々の役割だ」と話す。

同氏が率いるグローバルテレマティクス部は昨年4月、この役割を果たすため、KDDI内のクルマ関連のリソースを集結し、社長直轄の組織として立ち上げられたものだ。

KDDI
KDDI ビジネスIoT推進本部 グローバルテレマティクス部長の中村武氏(中)、企画営業1グループリーダーの濱田徹也氏(右)、企画営業2グループリーダーの関淳氏(左)

コネクテッドカーで展開されるアプリ/サービスが高度化、多様化するのに伴い、通信事業者にとっては、通信サービスの提供に留まらないビジネスの可能性も見えてきている。従来のように、自動車メーカーおよび車載器を提供するOEMメーカーが、回線以外の部分、つまりサービス提供基盤の運営やアプリ/サービス開発をすべて垂直統合型で行うことが難しくなってきているためだ。

コネクテッドカー向けのサービス提供には、ビッグデータ分析や、様々な事業者がデータを共用するプラットフォームの構築・運用、エンドユーザー向けアプリ/サービス開発等を行い、かつ、それをマネタイズしなければならない。クラウドビジネスのノウハウとICT技術を持つ通信事業者には、そうした領域でも自動車メーカーを支援し、ビジネス領域を広げていける可能性がある。

月刊テレコミュニケーション2016年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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