導入事例

「SDNだから1カ月でできた」全国500カ所へのWAN展開 ―― 大和ライフネクストのSDN/NFV導入事例

文◎坪田弘樹(編集部) 2016.07.21

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多数の拠点をつなぐWANを迅速に展開したいという望みを持つ企業は多いはずだ。回線工事やルーター設定等に手間がかかり、これまでは何カ月もかかるのが当たり前だったWAN展開も、SDNを使えば劇的に工期が短縮できる。500所をつなぐWANをわずか1カ月で構築した大和ライフネクストはその好例だ。


「2月に発注して、3月の末には500カ所に展開が完了した。実際の導入作業も本当に簡単に済んだ。いままでのやり方では絶対に無理だった」

2016年春に、全国500カ所におよぶマンション管理現場と自社データセンターをつなぐネットワーク(WAN)を構築した大和ライフネクスト・情報システム部システム管理課の植野正博氏はそう話す。


大和ライフネクスト 情報システム部システム管理課の植野正博氏


同社はこのWAN構築に当たって、インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供するSDN/NFVサービス「IIJ Omnibus」を採用した。同サービスを選定した最大の目的は、SDN/NFV技術の活用により「全国のマンション管理現場に圧倒的なスピードでネットワークを展開する」(植野氏)こと。IIJが2016年7月21日に都内で開催した法人向けイベント「Lead Initiative 2016」で講演した同氏は、IIJ Omnibusサービス導入の成果、そしてSDN/NFVに寄せる期待について語った。

マンション管理現場で進むデジタル化

大和ライフネクストは2004年から、マンション管理現場のIT化を進めているという。「フロントマネージャー」と呼ぶマンション管理員の業務効率化、サービス品質の向上が目的だ。管理事務所にPCを配置し、事務作業を効率化するだけでなく、管理員を支援するバックヤードとのコミュニケーション/情報・ナレッジの共有に役立てている。



マンション管理現場の「デジタル化」の狙い


なお、同社が管理するマンション戸数は現在33万2300戸。植野氏によれば業界内での競争は激化しており、上位15社で、全国に623万戸あるマンションストック戸数の過半数を管理する状況にあり「寡占化が進行している」という。競合同士での顧客のリプレースも激しく、「フロントマネージャーのサービス品質向上を追求していかなければならない」状況だ。

マンション管理現場のIT化は同社にとってまさにその基礎となる取り組みだが、従来はマンション管理現場とデータセンターを結ぶネットワークにいくつもの課題を抱えていたという。

大和ライフコネクトは、シトリックスの「Citrix XenApp」によって、データセンターから仮想アプリケーションを配信し、それをフロントマネージャーが各現場で利用する形態をとっている。顧客であるマンションの情報をローカルのPC環境に残さないためだ。それぞれの現場からはインターネット経由でデータセンターに接続する。マンションごとに使用できる回線は異なるため、これまでは現場ごとに回線を調達していた。



IIJ Omnibusサービス導入前の従来ネットワークの構成


そうした環境で顕在化した課題の1つが回線コストだ。利用する回線サービスごとに利用料金が異なり、全国で4000もあるという管理現場の回線費用を合わせると、そのコストは膨大なものとなる。

課題の2つ目は納期だ。固定回線を用いる場合には引き込み工事等で開通までに1~2カ月かかることも珍しくなく、迅速な展開が難しい。

3つ目の課題として建物の制約もある。管理規約によって使用できる回線が決められている場合があり、これも回線調達・維持の障害となっていた。

4つ目は通信機器の保守の課題だ。家庭用のブロードバンドルーターを用いているケースが大半で、基本的には保守サービスが付いていない。全国各地のマンション管理現場に技術者が赴いてサポートすることも難しく、設定変更やファームウェアのアップデート等を行うことは困難だった。

これに加え、回線の通信量の増大も新たな課題として持ち上がっていた。データセンターに収容する回線の容量は1Gbpsで、ここに全国各地のマンション管理現場からアクセスが行われるのと同時に、大和ライフネクスト社内からのインターネット通信もここを経由する。同社ではMicrosoft Office 365のようなパブリッククラウドサービスも利用しているため、回線の帯域不足も悩みの種だった。

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