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10年ぶりの大進化歴史を振り返れば、移動通信システムは、ほぼ10年ごとに大きな進化を遂げてきた(図表1)。前回は2010年。日本ではその年の12月、当時は3.9G、現在は4Gとして括られているLTEサービスがスタートした。そして今、2010年のちょうど10年後にあたる2020年の商用化を目指し、急ピッチで標準化活動などが進められているのが、5G(第5世代移動通信システム)だ。
図表1 移動通信システムの進化の歴史 |
東京オリンピックが開催される2020年は、日本にとって特別な意味を持つ年である。「我々は以前から2020年をターゲットにしていたが、その後オリンピックの東京開催も決まったことで、さらに2020年商用化に向けた気持ちが高まった」とNTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 室長の中村武宏氏は話す。総務省も、「世界に先駆けて2020年に5Gを実現」する方針を打ち出しており、2020年の5G商用化は「国策」ともいえる。
ITUでの呼称は「IMT-2020」
2020年の5G商用化をターゲットにしているのは日本だけではない。「アメリカや韓国も5Gにアグレッシブで2020年、あるいはそれより前に5Gのサービスを始めようとしている」(中村氏)。例えば、米ベライゾンは2017年に5Gサービスを開始するとアナウンスしている。また、韓国も2018年の平昌オリンピックで実証実験を行い、2020年に商用化することを目指している。2017年というと、5Gの標準化作業の完了前。厳密な意味で5Gと呼べるかは分からないが、世界的に2020年前後の5G商用化に向けた動きが活発になっていることが分かるだろう。
5Gの標準規格や周波数は、最終的にITU-R(国連の専門機関である国際電気通信連合の無線通信部門)の勧告に従うことになるが、ITU-Rでは5Gを「IMT-2020」と呼称している。
では、2020年に登場する5Gとは、どのようなものか。「ネットワーク化社会─要するに、多様なモノがつながり、様々なアプリケーションやサービスが広がっていく世界のためのネットワークが5G」と説明するのは、エリクソン・ジャパン CTOの藤岡雅宣氏だ。
2020年代の社会に必要なのは、携帯電話/スマートフォンのためだけのネットワークではない。5Gは、あらゆるモノがつながる時代のニーズに応えるネットワークを目標にしている。