成層圏の無人航空機が基地局に、ソフトバンクが新事業

ソフトバンクは4月25日、上空から通信ネットワークを提供するHAPS(High Altitude Platform Station)事業の展開を発表した。地上約20kmの成層圏で飛行する成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「HAWK30」を開発。IoTや5G、ドローンの活用に繋がるだけでなく、発展途上国などインターネットに接続できないエリアに提供することで、情報格差をなくす目的もあるという。

ソフトバンクは2019年4月25日、米AeroVironmentとの合弁会社であるHAPSモバイルの新規事業に関する記者発表会を開催した。

ソフトバンクは今後、HAPSモバイルを通じて、上空から通信ネットワークを提供するHAPS(High Altitude Platform Station)事業をグローバルに展開する計画。その実現のため、地上約20kmの成層圏で飛行する成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「HAWK30」を開発した。


HAPS

HAPSとは成層圏に飛行させた航空機などの無人機体を通信基地局のように利用し、広域エリアに通信サービスを提供するシステムの総称。1基で直径200kmのエリアをカバーできる超広域のカバレッジが特徴だ。これにより、山岳部や離島、発展途上国など通信ネットワークが整っていないエリアにインターネット接続環境を構築できる。IoTや5G、ドローンなどの活用にもつながるという。また、地上からの影響を受けないため、大規模な自然災害発生時にも利用できる。


成層圏からモバイルインターネットを提供する



超広域のカバレッジが特徴

成層圏を飛行する無人航空機

HAPSに使われる無人航空機HAWK30は全長約78メートル、翼にソーラーパネルと10個のプロペラを備え、平均時速約110kmで成層圏を無人飛行する。成層圏は気流が安定しているため、天候に関わらず安定した通信が可能だという。HAWK30が提供する通信ネットワークは、地上にある基地局とは干渉しない仕組みになっている。


HAWK30の特徴

ソフトバンク 代表取締役副社長執行役員 兼 CTO宮川潤一氏は、世界37億人がいまだインターネットに接続できず大きな情報格差が生まれていることから、「生まれる場所、国が異なっても平等の環境を作りたい。インターネットを世界中へ、これがHAPSに込めた思いだ」と語った。


ソフトバンク 代表取締役副社長執行役員 兼 CTO宮川潤一氏

米Loonとの協業 また、HAPSモバイルは米Alphabetの子会社であるLoonとの協業を発表。Loonは気球を用いた移動体通信システムの開発や打ち上げ、運用などを行う企業だ。両社の強みと技術を生かして次世代のグローバル通信インフラを提供し、世界のモバイルネットワークに革命を起こすとしている。


Loon CEO Alastair Westgarth氏(左)と宮川氏

両社は今後、6つの事業を展開する。具体的には、Loonの完成機体と技術を活用したホールセール事業や各種航空機やITU準拠の周波数帯に適用可能なペイロードの共同開発、各国の規制当局・官公庁に対する高高度通信ネットワーク活用の働き掛けを目的としたアライアンスの形成などを予定している。


HAWK30の1/40スケール模型

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