日本マイクロソフトは2015年4月21日、企業向けユニファイドコミュニケーション(UC)基盤の新製品「Skype for Business」の提供を開始した。同社はこれまで「Microsoft Lync」および「Lync Online」の名称でUC製品/サービスを提供してきたが、ブランドをコンシューマ向けコミュニケーションツールのSkypeと統合することを昨年11月に発表していた。名称変更とともに機能も拡張し、オンプレミス版の「Skype for Business」とクラウドサービスの「Skype for Business Online」を順次、国内でも提供する。
日本マイクロソフト執行役常務・パブリックセクター担当の織田浩義氏(左)と、Officeビジネス本部・エグゼクティブプロダクトマネージャーの小国幸司氏 |
執行役常務・パブリックセクター担当の織田浩義氏は、同社内で過去4年余りにわたってワークスタイル変革とテレワークの導入を推進してきた経緯を述べたうえで、「テレワークへの変革において最も重要な役割を果たしたのがLyncだった」と説明。また、Skypeは世界中で3億のユーザーを抱え国際通話の38%がSkypeで行われていること、Lyncも79%の米国企業が利用し世界で1億人のユーザーを持つことなどを紹介。両者の統合によって、ユーザー企業の生産性向上により貢献したいと述べた。
名称/ブランドの変更だけでなく、機能も拡張された |
LyncからSkype for Businessへの変更に当たって強化された点は、(1)コンシューマ向けSkypeとの連携、(2)会議機能の拡張、(3)開発者向けAPIの提供だ。
(1)Skypeとの連携については、まず、コンシューマ向けSkypeとSkype for Businessとの間でプレゼンスの共有や音声/ビデオ通話等がシームレスに行えるようになったほか、企業向けのクライアントにコンシューマ向けSkypeのデザイン・UIが採用された。アイコン等が共通のものを採用したほか、Skypeでユーザーに好評だった機能――ダブルクリックでの全画面表示や、非アクティブな状態でもビデオ通話画面が小さく表示される「コールモニター」――が企業版でも利用できるようになる。
コンシューマ向けSkypeのUIを企業向けにも採用した |
(2)については、従来のLyncのWeb会議に比べて、よりユーザー数の多い会議をサポートし、数千人が参加するセミナー形式の会議も可能になる。また、パートナーからリリースされる会議デバイス(Surface HUB等)のサポートも予定する。
(3)については、開発者向けの多様なAPIの提供を予定している。Officeビジネス本部・エグゼクティブプロダクトマネージャーの小国幸司氏は、「Skype for Businessを業務アプリやWebアプリに組み込むことが容易になる。Webを視野に入れたAPIを提供していきたい」と話した。これにより、Skype for Businessを活用する場面を増やし、「パートナーの方々のビジネス機会を広げる」。